第十話 声
お前は…
誰だ…
いや…
『何』だ…
―――――声が――――――
―――――聞こえる―――――
―――――光の―――――
―――――中から-――――
そこに…
こちらで…
『山神』と呼ばれるものが…
いないか…
俺は…
『山神』を迎えに来た者…
確かにいる…
お前が…
捜し求めている者かは…
解らないが…
『力』を持った…
異世界の…
『獣』が一匹…
これか…
恐らくは…
その…
『獣』だ…
こちらに…
こちらに…
無理だ…
『声』は…
届く…
しかし…
『力』を持った…
これほどの…
『獣』を…
送るには…
更なる…
『力』が…
必要だ…
『力』とは…
何が…
必要だ…
こちらの…
扉を…
開く…
そちらの…
扉を…
同じ…
『時』で…
開いてくれ…
そのための…
『力』を…
解った…
しかし…
どうやれば…
扉が…
開くか…
解らない…
しばしの…
時間を…
助言を…
良かろう…
こちらでは…
全てが目覚め…
全てが眠る…
混沌とした…
『時』が…
日に…
一度ある…
『獣』は…
その時…
現れた…
その…
一瞬に…
『光』の…
中に…
『道』を…
こちらからと…
そちらから…
タイミングを…
合わせて…
解った…
しかし…
こちらでの…
準備が…
整うまで…
しばしの…
時間を…
では…
また…
声を…
かけよ…
出来うる限り…
耳を…
傾けていよう…
出来うる限り…
早くに…
慌てるな…
確実に…
ああ…
ありがとう…
―――――ブクブク―――――
「…あ…」
意識を体に戻した卓也は、自分が海に沈んでいることに気が付いた。
(意識を向こうに向けすぎた…ヤバイ)
「ゴホゴホゴホ…」
何とか海上に顔を出し、その場を凍らせて体を乗せた。
(死ぬかと思った…)
卓也は、しばらく氷の上で休むと陸まで氷を伸ばし村へと歩き出した。
(『全てが目覚め全てが眠る、混沌とした『時』』か…夜明けか、日の入りだな…明日も潜るか…)
もう少し発展させたかったのですが…すいません、もう少し付き合ってください。