第一話 子ども
その子どもは、まったく子どもらしくない生活をしている。
学校から帰ればその子の特異体質を制御、または伸ばすための修行を行っていた。
学校の帰り寄り道でもしようものなら、すぐさま誰かが迎えに来る。
その子は、四六時中監視されている。
その子にとって自由な時間は学校にいるときと、寝ているときぐらいな物だ。
その子が、休めるとしたら病気になったときぐらいな物だ。
それでも、少しでも体調がよくなるとなにやら難しそうな本を読まされる。
それでもその子は不平不満を言わずその日常を過ごしていた。
少しわがままを言えば、自由な時間も与えられる。
そう思っていても、それを口には出さずただ、与えられる課題をこなしていた。
(この家に生まれ、この能力を受け継いでしまった)
また十歳にも満たない子どもがそう、悟ってしまったが故の選択だった。
その子にそんな課題を与えているのは、その子の両親だ。
両親はその子が生まれたとき、その子に能力があることに気が付きとても喜んだ。
両親は子どもが物心つくまで能力を抑え、物心ついたころ、まずは遊び感覚で能力の修行を開始した。
その、能力の名を『霊能力』
その、子どもの名を後に『宮神 卓也』
生まれながらに人生の行くべき道をすでに決定されている人間である。