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ガチャの旅は美少女を連れて  作者: ウィング
第一章 世界説明
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第4話 火の玉『イグニス』の攻略法

どの時間に投稿されるのがいいとかご要望ありましたらコメントしてくれると嬉しいです。

 ……いや、そんな簡単に諦めるわけにはいかないだろ!


「日本のジャージの動きやすさ、なめるんじゃねーぞ! 俺の渾身の右ストレー」

「『イグニス』!」


 イグニスと叫んだリーゼント男は、右の掌から火の玉を出した。そう、アニメのように。


 火の玉は俺にめがけて飛んできた。自分の突き出した右ストレートを下げ……。


「逃げるしかなくないかああああああ!?」


 悲鳴をあげながら眠る人たちを避けながら逃げ回る。涙目になりながら逃げ回る先に見つけた場所は――


「一旦隠れよう……トイレに!」


 トイレの個室に入った俺は、便座に腰を下ろした。はあとため息をつき、前を向くと。


「あ……れ……?」


 目の前には、俺の顔と同じくらいの大きさの火の玉があった。うんうん、俺もそこまで鈍感ではない。これはつまりあれだ。


「ピンチぃぃぃぃ!」


 個室のドアをバンと開け、リーゼント男の元に戻る。火の玉が俺の後ろにあり、それを今リーゼント男が操っているとすれば、殴るのは今がチャンス。


 ひたすら走る、何千人が余裕で入る広大な宿泊施設を。高校生だということもあり、それなりの体力があるから火の玉に追いつかれることはない。


 ……見つけた、リーゼント男。火の玉を操っているからか、ルスに絡むことなく真剣な顔をしていた。


 ルスにリーゼント男の後頭部を殴ってもらおうかと考えたが、火の玉以外に何か火の技をされてしまってはビキニ姿のルスでは火傷が酷くなってしまう。


 なら……俺が自力で解決するしかない。幸いにも金髪男はまだ倒れている。きっと今から俺に能力(ちから)が目覚めるはず。


 リーゼント男に手のひらを向け。


「『イグニス』ッ!」


 何も出ませんでした。


 すると、相手は両手の掌を俺に向けて。


「『イグニス』!」


 合計三つになった火の玉から俺は逃げ回った。俺がドタバタしているせいか火の玉が熱すぎるせいか、眠っていた人達が起き始めた。


 これはチャンス! 助けを求め……


「うるっせーぞ、お前! ドタドタ走ってんじゃねーよ、クソカスが! ……お前は、ギルドで騒いでたヤツか。邪魔ばっかりしやがって……!」


 一人の男が俺を睨みつけながらキレてきた。額に血管が浮き出るほどイラつかせたその男は、鎧を着ている上に剣を持っている。


 瞬時に悟った、こいつが共闘してくればリーゼント男に勝てると。それと同時に今俺をそいつが殺しに来た場合、はさみ打ちで自分が帰らぬ人になってしまうことも。


 俺の口で上手く鎧男を乗せられるか? 否、選択肢としては乗せて共闘してもらう他ないんだ、頑張れ俺。


 と、自分に言い聞かせながら猛ダッシュで鎧男の元へ向かう。火の玉に追いつかれないように。


 火の玉から避けるように鎧男の後ろに行くと、俺は小声で話す。


「一緒に共闘してくれないか? あのリーゼントさえ居なくなってしまえば、俺も静かになるからさ。どうだ? 悪い提案ではなくないか?」

「俺に指図するな。第一にお前はなぜ上から目線でものが言えるんだ、現状お前は俺の下だろ。土下座したら考えてやらなくも……」

「お願いします」


 これほど綺麗な土下座を見たことはない――と、後に鎧男は語ったらしい。


 何の躊躇もなく頭を下げた俺を見て、今頃ルスはドン引きしている事だろう。だから見ない、ルスの方はこの件が終わってから素直に謝ろう。


 土下座を見て気分が良くなったのか、鎧男は飛んできた火の玉を全て剣で切り壊した。散った火の玉はとても綺麗で、異世界に来たって感じがした。


 口をポカンと開けたまま一連の流れを見守っていると、鎧男が鼻の下を擦りながら。


「強いやろ、これでもレベル10だからな。あんなチンケなイグニスなんて剣振っちまえば破壊できるのさ。……おい、どうした?」

「ん? あ、いや、本当に強いなと思ってさ。助けてくれてありがとな、また会ったら飲みにでも行こうぜ」


 基本、異世界ものと言えば酒屋に行く。ここもれっきとした異世界、酒屋にでも行けば気分が良くなってこの件を忘れるだろう。


 と、甘い考えをしていると、鎧男が真っ青な顔をしていた。俺が小首を傾げると、鎧男はビクッとさせた後に無言で走り去っていった。


「なあルス、どうなってるんだ? 異世界転移したらギルドか酒屋だろ? なのにあの鎧男はどうして去ってったんだろうな」

「私には分からないけど、ギルドに行ってパルスの話を聞いたらわかるんじゃない? さ、行こ行こ」


 上機嫌のルスが俺の背中を押しながらギルドへと向かう……が、走り回ったせいか、足が震える俺はその場に座り込んだ。


 と同時に、お腹がキューと鳴った。


「タッキー、命令くだされば私の汁を舐めてもいいよ。私はタッキーの物、ご自由に扱って!」

「大丈夫だから、いちいちエロいこと言うのはやめろ。キャラが彼女と被ってるから、余計興奮するだろ」

「えっ! 唯一無二の私のキャラが……一番被りたくない相手、彼女さんと被るなんて……! こうなったら、タッキーと一回ヤって、私しか見えないようにしてあげる!」


 下のビキニの紐をヒュルヒュル解きながらそんな事を言ってくる。周りの視線が一気にルスに集まる中、俺はルスが紐を解き終える前に中央エリア……つまり初期位置へと走った。


 相変わらずの人の多さの中、これが全員誘拐ガチャから来た人かと思うと、日本が心配になった。


 また人が増えるかもしれない。実際、ニュースで行くなと報じても来たやつがいるわけだし。


「さ、ギルドへ行って情報を訊きに行こうか」

「えー、さっきの続きしようよ。私はいつでも準備万端なんだよ? さ、どうぞ!」

「いかねーよ!?」


 俺の異世界生活はこうまったりとした感じで進んでいくんだと思っていた――ギルドで話を聞くまでは。

いつになったら旅に出るのか、そしてこれが面白いのかが自分ではわかんなくなってきました。(๑>؂•̀๑)

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