第2話 初手詰み?
自分なりに頑張っていくんで温かく見守ってくださーい(笑)
一旦ギルドを後にした俺たちは、初期位置へ戻ってきていた。頭を抱えて悩む俺に、ルスが優しい声を掛けてくれた。
「大丈夫? 私もネイトが日本円で幾らか分からないけど、基本一円イコール一ネイトじゃない? ゲットの仕方は……分からない、ごめん」
「いや、ルスが謝ることじゃない。こればっかりはどうしようもないしなあ……。ネイトの価値観も分からん俺らにどうしろと」
この中央エリアには大きな噴水があり、噴水を覆うための塀に今腰を掛けている。右手でお金の形をし、左手で貰おうと手を突き出しているが、全くお金が貰えない。
日本と仕組みが違うから分かってもらえないのか、とも考えたが、そもそもネイトの価値が高いのかもしれ――
「行くぞルス! パルスさんの元へ」
「えっ!? ネイトゲットしたの? 持ってないのに行っても無駄なんじゃ……?」
訝しむルスの手を引き、強引に連れて行った。
「――ネイトを獲得したのですか?」
ニヤニヤしながら俺に問いかけるパルス。時間にしても去って三分程度しか経ってないので、持っていないと見透かされているのだろう。
「確かに今は持っていない。が、それは関係ないんだよ」
「と、言うと?」
「俺の名前は増山龍樹。異世界転移者にして、俺TUEEEE系主人公になる者! そんな俺がこんな八方塞がり状況に押し潰されて初手詰みなんてありえないと思わないか?」
キョトンとした顔で俺を見つめるパルス。顔が可愛いだけに自分の顔が赤くなるのがわかる中、せっかくの決め台詞を台無しにしたくない思いから見つめ返す。
すると、パルスはクスクス笑い出した。俺が訝しむと、笑って目に溜まった涙を指で拭いながらパルスが。
「面白いことを言いますね、君は。貴方が異世界主人公? 絶対ありませんね!」
「な、なにおう!? 喧嘩売ってるんだったら買ってやるよ、かかってこい! 人間様なめると痛い目にあうんだぞ!」
「ふふふ……」
いつまでも笑い続けるパルスに対する恥ずかしさがなくなった俺は、周りが俺たちを見ていることにも気づかずに手を出そうとした時、ルスに振り上げた右腕を押さえられた。
「何するんだルス。ギルドに舐められたら終わりだろ。ここは実力行使でもなんでも、パルスより強い事を証明しないと!」
「落ち着いて! 今手を上げてしまえば、もうギルド内に戻ってこれなくなるよ!? 周りの視線を気にしてみてよ、男の人も女の人も戦闘態勢に入っているのが分かるよ」
ハッと我に返って周りを見回す。すると、さっきまで異常なくらいうるさかった周りが静まり返って、全員が俺たちの方に注目していた。
パルスから一歩離れて、自分の行動を思い出すと、自分がどれだけ恥ずかしいことを言ったか思い知らされた。
羞恥マックスまできていた俺は、蚊の鳴くような声で。
「す、すみませんでし」
「面白いですね、龍樹さんは! 私はもしかしたら、龍樹さんのような人を探していたのかも知れません。過去に一度も自分を最強と信じ、しかも思っているだけに留まらず、相手にも俺TUEEEEとか自分で言うんですから。いいでしょう、ギルドに勤めて半年と、知識は浅はかかも知れませんが力になれるように努力しますので、なんでも聞いてください」
目をキラキラさせながら席を立ち、顔を目と鼻の先まで近づけてきたパルス。これ……キスしてくださいって誘ってるのだろうか。
可愛い顔を近づけて誘ってくるなんて、淫乱女か……。それでもキスしたくなるのが男のサガってヤツなんだろうか。
俺はパルスの綺麗なピンク色の唇に、自分の唇を合わせようと近づけ――
「それは別料金です♡」
片目でウインクしながら唇に手を当てて可愛らしさ全開にするパルス。男子は淫乱女に対して悪く言うことが多いかもしれないが、実際対面してみるとアソコが膨らんでしまう。
俺たちのやりとりをただ見てることしか出来なかったルスが、自分で自分を奴隷と言っていたくせに俺を突き飛ばし、パルスと向かい合った。
「龍樹は私のご主人様なんだよ。パルスでしたっけ? あんたのようなギルドに勤めて、制服しか着れない人が色気使ったところで私には勝てないの。邪魔しないでくれる?」
「あら、邪魔と思うってことは負けを認めている、ということではありませんか? ほら龍樹さん、胸を見てもいいですよ?」
一触即発!? 向かい合ってすぐ喧嘩に入る二人の間に割って入り、見せようとするパルスの胸をチラチラ気にしながら二人を宥める。
「落ち着いて、喧嘩はよくない。……人間喧嘩することは……よくあることだけど……ムフッ」
「なんで!? 私は水着姿で触ってもいいよって言ってるのに、なんでギルド指定の可愛くない制服の淫乱女を気にするの!? 負けない……私は龍樹の物になんだから……!」
仲直りさせようと間に入ったのが間違いだったのか、ルスの怒りが頂点に達していた。だが、仲直りさせるのは簡単だ。
「じゃあパルス、ちょっとトイレ行ってくるわ。その後にガチャバトルの詳しい情報教えてくれるか?」
「かしこまりました。いつまでもお待ちしています」
俺たちがギルドを後にしようと初期位置に向かう道中、喧嘩が収まったのを見て安心したのか周りがまた賑やかになったのを確認した。
――初期位置に着くと、ある問題に直面した。
「トイレどこだよ」
噴水の塀に腰を掛ける。股を押さえながら。隣にはニヤケ顔のルスがこっちを見つめてくる。理由は単純明快、ギルドから出る時に腕を引っ張ったことによるもの。
ボディタッチされたことによりパルスに差をつけれたから、優越感に浸っているのか。というか、ルスはトイレの場所を知らないのか?
「ルスはトイレの場所知らないか? 早く行きたいんだけど」
「おっ、龍樹は今二つの意味をかけたね。行きたいとイきたいって。……龍樹って呼び捨てでよかった?」
確かに、奴隷に呼び捨てで呼ばれるのは変じゃないか? ルスは神子に似ている部分がある、なら、呼ばれ方はあれしかない。
「じゃあ『タッキー』って呼んでくれ。……今はそれよりトイレの場所知ってるか言ってくれ!!」
「場所知ってるよ、タッキー! タッキー早く行きたいんだね? 連れていくよタッキー」
「タッキータッキー連呼しなくていいから、早く連れていってくれー!」
焦っているのが伝わったのか、ルスは俺をお姫様抱っこをし……って、胸が! 目の前に水着一枚と生地の薄い向こうに胸が!!
こんちわペンネームウィングです(唐突な自己紹介)。前書き後書き見る人いるのか? と、疑問に思います。
それは一先ずおいといて、感想やブックマークされると嬉しいです!(自己満とか言わないでね?)




