愛は紅く染まる
即興小説・お題「同性愛の殺人犯」で作りました。
「ついに、一緒になれるのね」
血の滴るナイフを片手にエミコは微笑んだ。
傍らには、マリが倒れている。
マリは、腹部を刺されていたが、まだ息はあった。
「エミコ……」
マリが呟く。
朝の光が部屋にしらじらと満ちていた。
その中の白いカーペットの上でマリは横たわっていた。
真っ赤な血がカーペットを染め上げてゆく。
「私は、ただ好きなだけだったのに……」
マリは泣きそうな顔になった。
白い指がわなわなとエミコの方へ向けられる。けれどもその指が届くことは無い。
ただ、エミコはマリを見つめていた。
マリはすこしずつ、すこしずつ弱ってゆく。
そうしてマリの指が、血濡れたカーペットの上に落ちた。
エミコは殺人犯となった。
ドアをノックする音がした。
「ねえ、エミコ。シャワー浴びてきたよ」
そう言うのは、マリの恋人のユミカだった。
ドアが開けられる。
「マリ……」
「これで、邪魔者は消えたよ? 一緒になれるよ、ユミカ」
そういってエミコはユミカの方へ向かって微笑んだ。