第21話 グラディアル帝国 後編
・・・・・・・1時間半ほど飛ぶと望遠で見えてくる。国境付近に居るグラディアル帝国の5万人を超える大軍が!!
グラディアル帝国とリドバドル王国は同盟を結んでいる為に国境に兵士が殆ど配置されていない。リドバドル王国側の国境を越えた直ぐの場所にミエングの町があり、町の外では子供たちがボールを回しあって遊んでいる姿があった。帝国軍は国境手前の1km程離れた位置から大量の遠方魔法兵器で町を狙う準備をしている。
--なんで!!なんで普通の町を攻撃しようとしてるんだ!!何も知らない子供たちが居るんだぞ!分かってるのか!!ゴッドグランシーズ!!くそっ!届かない!
クラウドは町の周りにゴッドグランシーズの壁を構築しようとしたが遠すぎて発動しなかった。グラディアル帝国軍は攻撃を開始する。前衛から1000を超える炎、風、氷、土攻撃魔法が飛んで行く。5個目に着弾した土魔法が町の外で遊んでいた7人の子供たちに着弾して、子供達が吹き飛んでいく。
「やめろ~~~~~~~~!!!」
それを望遠で見ていたクラウドの目の瞳孔が発動させていないのに真眼の銀色に変わる!その次の瞬間!更に銀色から輝く青色の目に変わっていく!!まだ遠方を飛んでいた筈のクラウドはグラディアル帝国軍を追い越して、いつも間にか子供たちの傍に瞬間移動して現れた!!
「エターナルヒール!!エターナルヒール!!エターナルヒール!!~~~~~~~~!!!頼む!!効いてくれ~~~~~!!」
6人の子供たちは骨折も治り、身体の裂傷も無くなりボ~っとしながら息を吹き返す。
土魔法が着弾した一番すぐ傍にいた7歳の男の子メルヤだけが、千切れた右足も左手も生え変わり身体は完全な状態となるが目を覚まさない・・・。クラウドはその子供を抱きしめながら、何度も何度も魔法をかける。
「エターナルヒール!!エターナルヒール!!エターナルヒール!!エターナルヒール!!~~~~~~~~!!!」
子供は目を覚まさない・・・・。クラウドの中でルシャンの村で起こった記憶が共に心を駆け巡り、レイティス神から貰った力を暴走させてしまう!!
「う!・・・うぅ!!・・・・・・うぉぁあ!!~~~~~!!うぁああ~~~~~~~~~~~~!!!」
クラウドの身体からブルーの炎と銀色の炎が渦を巻きながら空へ舞い上がり、雲を裂き天を突き抜けていく!!その炎の柱は次第に広がってクラウドを中心に約300kmの空間を輝く青色に染める!大量に放たれた魔法兵器は、初めから無かった様に消えて行く!!町の建物は時間を戻すように修復された・・・ただ一人、クラウドが抱きかかえている7歳のメルヤだけが目を覚まさない・・・。
--なぜ!!?なぜ・・・この子は亡くなった??・・・・この子が何をしたんだ?・・・・ボールで遊んでいただけだ・・・・・・お前たちは!!・・・人を殺す資格があるのか?・・・・・お前達には・・・・
「・・こころが・・・・・ないのかぁ!!!~~~~~~~~~~!!!」
クラウドが泣き叫び、青い空間に稲妻が走る!!天からキラキラと輝く青い雨が降り出す。クラウドはグラディアル帝国皇帝にリドバドル王国へ戦争を仕掛ける真意を聞き出すため、メルヤを抱いたまま歩き出した。約30km離れた皇帝へ向かって歩いて行く。
5万を超える大軍は何故か・・クラウドの歩く道を作り、当然の如くどうぞお通り下さいとばかりに開かれた道に向かって跪いている。軍兵達は青い空間の中で、この方をお通ししなければと思っている様だ。その開かれた道をクラウドがゆっくりと歩いていくのだが一歩進むごとに数kmも進み、30km離れた皇帝へ数歩で到着した。
皇帝の乗った特別製の装甲馬車まで辿り着くと皇帝であるローラフィナでさえ、装甲馬車の高い指揮台から降りて来て当然の様にクラウドの前に跪いた。ローラフィナはピンクの髪色、頭に宝石を散りばめた冠を被り、ドレスの様な鎧を着けている綺麗な20歳の美女であった。クラウドが問い掛ける。
「貴女がローラフィナ皇帝ですね。」
「はい。」
「何故、あなたは同盟国であるリドバドル王国を攻撃するのです?」
「それは、父上の御指示だからです。」
「前皇帝陛下は、お亡くなりになったと聞きましたが。」
「はい、私が体調を崩していた父上の代わりに公用で出掛けていた際、父上が遺言として残したらしいのです。リドバドル王国の誰かが紅龍族の秘宝である紅龍王の牙を盗んだ為に、同盟国であるグラディアル帝国にも怒った5大竜族である紅龍族が攻めて来ると。そうなればグラディアル帝国も滅亡してしまいます。そして、怒りを鎮めるにはリドバドル王国を滅ぼす必要があると。」
--どういう事だ!?紅龍王の牙は自分が持っているのに・・・。
「誰がそんな事をあなたに伝えたのです!!」
「はい、長年父上に仕えて来た宰相ベグタフです。」
「そんな・・・そんな嘘でこの罪の無い子供が亡くなったのか!!この子と貴女の国に居る子供の何処が違う!!この子は町の外でボール遊びをしていただけだ!!この子に・・・どんな罪があると言うんだ!!!この子には明るい未来があった筈だ・・・。」
「・・・・・・・。」
クラウドは再びメルヤを抱きしめて涙を流す。メルヤはクラウドの涙が当たり、目を覚ます。
「ん・・・ん~、お兄ちゃん誰?」
「良かった!魔法が効いてたんだ!!良かった・・・良かった!!」
クラウドは魔法が効いたと思っているが、違う!!メルヤは確実に魔法を掛ける前に亡くなっていた。レイティス神の力を暴走させクラウドの神域となった空間でクラウドに逆らう物(者)は無かった・・・さまよえる魂でさえも!!・・・。
「お兄ちゃん、痛いよ!」
「あぁ、ゴメン!」
メルヤが目を覚ますと辺りの青い空間は元の空間に戻り、空は晴れ渡った。クラウドの目も元に戻ってグラディアル帝国軍が全て立ち上がる。ローラフィナ皇帝の近衛騎士団長エイグルが真っ先に動いて、皇帝を抱えてクラウドから距離を取ろうとする。
「失礼致します!陛下こちらへ!」
「帝国5勇者よ!!全ての帝国兵士よ!!陛下に逆らう不届き者を殺せ!!」
「「「「「「「「「「はっ!!」」」」」」」」」
「待ちなさい!!!」
「陛下?・・・。」
ローラフィナが声を上げ、兵士達は鎮まる。
「あなたはリドバドル王国の者ですか?」
「私はクラウドという者ですが、リドバドル王国の者ではありません。」
「ならば何故、リドバドル王国の味方をしているのです。」
「リドバドル王国の味方をしている訳ではありません。もし、リドバドル王国が同じ様にグラディアル帝国に戦争を仕掛け、罪なき人達に害が及ぶ様であれば自分はそれを止めます!!」
「そうですか・・・。私は皇帝であるが故に帝国を・・民を護ろうとしましたが手段を間違えていた様です。」
「何を仰います!?陛下!!帝国が滅びますぞ!!よいのですか!!」
ベグタフが皇帝の斜め後ろから声を上げる。
「クラウド殿!確か先ほど紅龍族が攻めて来るのは嘘だと言っておりましたね。証拠はありますか?」
「陛下!!長年、前皇帝陛下に仕えて来たこのベグタフが嘘を申し上げているとでも!!」
「いいえ!ただ・・他国の知らない子供の為に涙を流して助けようとした!この者も嘘をついているとは思えません!!どうです!?証拠はありますか?」
「あります!!なぜなら自分が紅龍王の牙を持っているからです!」
「陛下!!お聞きになりましたか!馬脚を現しましたぞ!!きっと、この者が盗んだのです!」
「違います!!牙は紅龍族の長から預かったものです!証拠を見せましょう!」
クラウドは紅龍王の牙を出して天に掲げ、ベグドーザから教えて貰った言葉を唱えだす。クラウドが光業炎でダウゴウラを焼いている最中に紅龍王の牙を通して連絡があった言葉だ。クラウド自身は紅龍王の牙でダウゴウラを焼くとは!と怒られると思ったのだが問題ない様であった。
「紅龍王の牙よ!!持ち主であるベグドーザをここへ召喚願う!我はベグドーザの友、クラウド!!」
空に巨大な赤い魔法陣が現れる!その周りには熱風が吹き荒れる!!クラウドは他の者達に被害が及ばない様にゴッドグランシーズの壁を作った。
巨大なベグドーザが現れだすと多くの兵たちは身構えたり怯えている。クラウドはベグドーザが着地出来る場所をゴッドグランシーズの巨大机として作りだした。ローラフィナを筆頭にして全ての帝国軍兵士はその巨体に驚いている。
「なんと巨大な!?・・・。」
「人族唯一の我が友よ!!何の用だ?」
「この人達はリドバドル王国の民が紅龍王の牙を盗んだ為に同盟国であるグラディアル帝国にも紅龍族が襲ってくると勘違いしてリドバドル王国と戦争をしようといます!その誤解を解きたいのです。」
「そのような事か!容易いことだ。」
グラディアル帝国軍の全ての者達の頭の中でベグドーザの声が響きだす。
『紅龍王の牙は盗まれてはおらぬ!!我が人類唯一の友、クラウドに現在預けておる!余計な心配をせぬ事だ!!お前たちは紅龍族が襲ってくるのを心配して戦争しようとしたみたいだが、それよりもクラウドを怒らせぬ事だ!!言っておくぞ!この者は私達、紅龍族よりも強い!!国の破滅を招くと思え!!』
「「「「「「「「「「・・・・・!!!?・・・・・」」」」」」」」」」
--う~ん、そこは要らなかったな。
「クラウドよ、いつでも紅龍族のグファンヴァル山を訪ねるが良い!歓迎しようぞ!さらばだ!!」
ベグドーザが飛び去っていく。その翼が巻き起こす風で多くの兵士達が転がっている。
「「「「「「「・・うわぁ~~~~~~!!・・」」」」」」」
「これで分かって頂けましたか?皇帝陛下。」
「・・どうやら、そなたのいう事は間違いないようです。ベグタフ!!どういう事です!!・・・!!?」
ベグタフが少し離れた場所で黒い心臓を掲げている!黒い稲妻が落ち、ベグタフが異業の魔物に変貌を遂げる。近くにいた帝国兵士達が衝撃で吹き飛ばされる!ベグタフが変身したその姿はイボガエルを巨大化した様な姿であった。身長は15㍍に及ぶ。
ベグタフが全身のイボから大量のカエルの舌を伸ばしだす。帝国5勇者が帝国軍へ迫って来る舌を剣と魔法で防ぐ。あるものはスキルで剣に焔を帯びさせ斬り落としていく。あるものは軍兵士達に結界を張りながら火魔法で舌を焼いていく。他の兵士たちは弓矢と遠距離魔法で遠くから攻撃していくが、全て舌で絡めとられ身体まで届いていない。
ベグタフが変身した巨大な魔物は大きな口を開けてローラフィナに向かい巨大な舌を伸ばして来る!クラウドはメルヤとローラフィナ、近くにいた兵士5人を放り投げた。エイグルはローラフィナを受け止めようと走っていく。
--エイグルっていう人は足も速いし、大丈夫そうだな。
足の速いエイグルでも受け取る事が出来そうにない為、クラウドが100㍍程飛ばされている全員を一人ずつ受け止めていく。
「キャ~~~~~~!!」
最後にローラフィナを受け止めて謝る。
「ローラフィナ様、手荒な回避で申し訳ございません。」
「いっ、いえ!助けてくれて有難う。」
「どういたしまして。」
ゆっくりと顔を赤くしたローラフィナを降ろす。
--あの魔物自分が倒しても良いんだろうか?あの魔物が本当に長年仕えて来た人って言うなら倒しづらいな。取り敢えずフォローだけにしておこう・・・。
クラウドは帝国5勇者が撃ち漏らして、兵士に近付く舌たちを大量のファイヤーアローで焼いていく。
--見た目通り火がどうやら弱点の様だな。でも、あれだけ大量の舌が出て来ると5勇者って言われる人達も手こずってるみたいだな・・・。
大量の魔力が必要な超高等火魔法のバングエイファイングを5勇者全員で構築して放つ!巨大な炎の玉が魔法陣から飛び出し、玉の表面から炎の蛇が大量にうねりながら獲物を狙っている。ベグタフの傍に行くと100本以上の舌に噛みつき焼いていくが、舌は直ぐに生え変わってしまう。巨大な炎の玉であったのが、大量の舌の前にどんどん小さくなり消えてしまった。炎が消えると再び5勇者に襲い掛かってくる。勇者の一人ステリッドが叫ぶ。
「くそ!!この舌厄介だな!いつまで再生するんだ!!」
「ゲロ!オマエタチヲノミコムマデダ!!」
中々、倒せない様子を見てローラフィナがクラウドに声を掛ける。
「クラウド殿・・・クラウド殿なら、あの魔物を退治出来ますか?」
「私が倒して宜しいのですか?」
「やはりそうですか。お気遣いなく・・・。帝国の民を害するものは、もはやベグタフではありません!他の者に危害が及ぶ前にお願いします!」
「そうですか。では危険ですので、あの魔物から全員離れる様に言ってください。」
「分かりました。」
「皆の者!!魔物から離れるのです!!エイグル!全軍に伝えなさい!」
「はっ!皆の者~~~!!陛下の御命令だ!!魔物から離れよ!!魔物から離れるのだ~~~~!!!」
大隊長から中隊長、中隊長から小隊長へ伝えられていく。帝国5勇者も火魔法攻撃で魔物を牽制しながら離れる。
--そう言ったものの、どうするかな?帝国軍の戦いを見てたけど物理的攻撃はヌルヌルとした体表と舌で効果薄いみたいだし。数で来るなら数で勝負か!?
クラウドはベグタフに近付き他の者には被害が及ばない様にゴッドグランシーズの壁で隔絶する。ベグタフが全ての舌をクラウドへ伸ばして来る。
それを全て避けながらアテナと特訓した時に覚えた火系上級魔法を無詠唱で1秒に約300発、メニューの魔法を連打して10秒で3000発程の魔法を構築する。
「罪なき者達の!・・・痛みと苦しみを思い知れ!!」
--ダダダダダダダダダダダダァ!・・・・・・・・ダダッダダダ!!
その構築した魔法の中には帝国5勇者が5人がかりで構築した超高等火魔法バングエイファイングも100発含まれている!5勇者達はあり得ない状況に唖然としている。
「そんな!?・・・。」
「人に・・・あそこまで強く!?・・・・可能なのか・・?」
「あり得ない!?・・・。」
「やはり・・・先程の青い空間は・・・あの方が?」
「紅龍族をも凌ぐ力!!?あいつは、いや・・あのお方は・・・神・・・様?」
クラウドの頭上1kmと周りに魔法陣が埋め尽くされていく。グラディアル帝国軍の兵士達が、そのクラウドの魔力量と魔法に驚愕して天変地異が目の前で起こっている様な表情で、全軍がどんどん離れて行く・・・。遠く離れた場所にいる兵士たちも何が起きたか分からないが隊長から離れる指令が来て離れていく。
全ての魔法が放たれる!!
「ゲロ!?・・・・・・・ゲ・・ビ・・リ・・ョ・・・・。」
魔法が放たれるとゴッドグランシーズの壁内では5万度の熱が荒れ狂い、土は液体を通り越して昇華していく様に蒸発する。蒸発した土が一部、白煙と化して上空へ舞い上がる。
ベグタフは全ての魔法が放たれた後、わずか2秒で焼かれて塵も残さず蒸発していった。
「これで、とどめだぁ~!!光!~業!~炎!!~~っても~う、居ない~~!!?」
--うっ、この紅龍王の牙を掲げた右手・・どうしよう・・・。
辺りを透視で見渡すとグラディアル帝国軍は、かなりクラウドから離れていた。
--遠いけど見られたかな?何も無かった様に、ゆっくり手を降ろしてと・・・恥ずかしい~~!!顔、絶対赤くなってるよ!
--え~っと、周りの煤で顔を汚すか?顔だけゴッドグランシーズを解!?熱っ!!ゴッドグランシーズ!!エターナルヒール!!
--忘れてた!・・・完全に解除される前で良かった・・。
半径130mのゴッドグランシーズ壁の内部は土が2㍍程蒸発して陥没し、今も足元の地面深さ50cmまでマグマと化している。クラウドは壁を解除する前にブリザウェードの魔法を連続構築してマグマを元の土に戻し壁を解除した。グラディアル帝国軍から地面が揺れるほどの喜びの歓声が上がりだす。
「「「「「「「「「「・・・・ワ~~~~~~~~・・・・!!」」」」」」」」」」
クラウドに向かってローラフィナが近づいて来る。近衛騎士団長エイグルは今も尚、クラウドに対して警戒を解いておらず、ローラフィナの斜め前を歩いていた。ローラフィナはクラウドの傍に来ると話し出す。
「クラウド殿、この度は誠に感謝申し上げます。魔族の陰謀を防ぎ、帝国を害する巨大な魔物をも被害を出さずに倒して頂き、そなたには感謝しきれない程の借りを作りました。」
「リドバドル王国とは同盟破棄となるでしょうが、私自らトラスティア国王に対して謝罪に伺うつもりです!」
ローラフィナが何かを決意した様にクラウドを見つめる。
--もしかして?・・さっき光業炎って叫んだのバレてる?
「・・・クラウド殿!!・・・・・突然で申し訳ありませんが、私と共に国を治めて貰えませぬか!?」
--え!?国を治める?・・・どういう事?いきなりプロポーズ!?ローラフィナ様は綺麗だけど全然どんな人かも知らないし、奥さんを増やすつもりないよ。特に一緒に国を治めるなんて絶対無理!!
「何を申します!!?陛下!!」
エイグルが驚き、陛下を見る。
「この度の無意味な戦争を起こしてしまったのは私が陰謀を見抜けなかった事・・・国を守るためとはいえ、罪なき者への思慮が足りなかったせいです。」
「クラウド殿には、それを教えて頂きました。心も体も強きクラウド殿とならグラディアル帝国をもっと良い国に育てられそうです!!お願いします!クラウド殿!!」
--いやいや、無理ですって。
「申し訳ございません!私は平民の出身です!陛下には相応しくありません!」
「今回、ローラフィナ様がお気付きになられたのであれば、より良い皇帝として成長なされたのだと思います。自分が居なくても立派な皇帝陛下です!もし魔族からの攻撃があればヴェルタス王国のユイアレス王子までご連絡下さい。助けに参ります!」
--よし!撤収!!
「それでは、これで失礼致します。」
クラウドは頭を下げる。顔を上げると同時に姿を消して風高速移動で去って行く。
「あ・・・・・・・。」
そして誰も見ていない場所まで移動すると、リグアントにいる皆の下へ戻る為に飛び立った。
各国の連絡係達はグラディアル城の地下深くに、何かに利用する為に殺さず閉じ込められていた。その中には、やつれ細ったグラディアル帝国宰相ベグタフの姿もあった。クラウドの倒したベグタフは魔族ビルゴグが化けていたのであった。
リドバドル王国の連絡係はその詳細を国に伝える。連絡係は今回の戦争の原因は魔族にあると。ただ、クラウドの活躍により人が死ぬ事は無かったが、国を攻めようとしていた事実は変わらずローラフィナ皇帝が謝るも同盟は破棄されてしまった。
クラウドはリグアンドの町に飛んで、着いた頃には夜となっていた。屋敷の庭に飛び降りると何処で外を見ていたのか、3人が一斉に飛び出して来てクラウドに抱きついた。
「無事で良かったですわ!!」
「良く御無事で!!」
アテナはクラウドにしがみつき顔を擦りつけながら、ウンウンと頷いている。
「皆!ただいま。」
クラウドも抱き返す。
「「「おかえりなさい(・・・おかえり)。」」」
「戦争は無事止めれたよ!それよりお腹空いたな!!皆、ご飯食べた?」
「いいえ、二人ともクラウドが心配で喉を通らず・・・。」
「そうなんだ・・ごめんよ。」
「アテナは食べれたの?」
「・・・クラウド強い・・心配無用・・・・でもオグトロス100kg食べただけ・・今から食べる。」
「ハハハハ!!100kgしか食べてないんだ!じゃあ戦争を止めれた祝いに豪華な食事と行こう!!沢山の高級食材もあるしね。」
「それでは、張り切って用意いたしますわ!」
「私も!!」
アテナも頷く。クラウドは大量の食材を出していく。アテナは、かなりお腹が空いている様で先に1匹だけダウゴウラを焼いて串に刺して渡した。その肉に噛みつきながら器用に料理の手伝いをしている。
「あ、そういえば明日はギルドに行かないとな。まだ仮Sランクのままだし。」
「そうですわね。」
「クラウド様、そう言えばユイアレス様にはご報告されたのですか?」
「そうだ!連絡しないと!」
クラウドは煌輝紋章石を出して連絡しようとする。
「ユイアレス、応答してください・・・・・・ユイアレス?応答してください・・・・・・・。」
「ダメだ、反応が無いみたいだ。」
「多分、忙しいのですわ。」
「そうかな?・・・。」
--何か嫌な予感がするんだけど・・・。
「それじゃあ、また明日でも連絡してみるよ。」
テーブルには大量の豪華な料理が並ぶ。アテナが今にも飛び掛かりそうだがクラウドが抑えている。
「はい!出来ましたわよ~。アテナお待たせですわ。」
「いただきます!」
「「いただきます!」」
「頂きマグ!モグモグ!・・・美味しい!バクバクバクバク!モグモグモグモグ、ングング。」
「ははは!アテナ沢山あるんだから、そんなに急がなくても。のどに詰まるよ。」
クラウドはご飯を食べ終えて町からから離れた場所で訓練を行う。
「アテナ悪いけど今日の訓練はシルティア達とお願い出来るかな?今日は一人で訓練したいんだ。」
--テリクラブド竜でレベル上げをしたいし。沢山のテリクラブド竜を相手にするのは、アテナもちょっと大変だろうしな。あと、ユリアはニョロニョロ系が苦手だから見えない所まで移動しないと・・・。
「・・・りょうかい。」
クラウドは3人用にゴッドグランシーズの檻を作った。魔物のレベルはシルティアとユリアに合わせてある。ただ、アテナには物足りないだろうから数はいつもの1.2倍にしておいた。
--最後に仕上げを3人へゴッドグランシーズの鎧っと。これで、よし!
「それじゃあ、自分も行って来るよ。」
「すぐ傍で訓練しませんの?」
「ユリアが苦手な魔物と戦う予定だから、ちょっと離れておくよ。」
「そうなんですの?」
シルティアはユリアを見る。ユリアは戦う魔物の種類を察して顔色を変える。
「クラウド様!申し訳ありませんが、う~~~んと!!離れた場所で訓練願います!!」
「う~~んとね、了解。」
クラウドはそこから5km離れた開けた場所にゴッドグランシーズの檻を作った。
--まずは、レベル上げだな。
クラウドはテリクラブド竜3匹を出して大量の針で刺してみる。カン!という音がして折れはしないが刺さらない。
--やっぱり普通の針のイメージではダメだな。よし!鋭く!・・鋭く!!・・・鋭く!!。
「これでどうだ!!」
大量の針はバシュッ!と刺さり3匹の竜は魔元核石を残して倒れた。
--いけそうだな。
クラウドは慎重に5匹、7匹と増やし合計387匹を倒した。風高速移動しながら300匹の魔元核石を素早く吸収していく。レベルは124まで上がりスキルのアクアブレスはヴァリアブレスと変わった。
--え?魔力が続く限りどこでも呼吸できる?宇宙でも大丈夫なのか?まっ・・・・これも使えそうにないな。それより、今度は実地訓練と。
クラウドは2匹のテリクラブド竜を出して檻の中に入る。2匹が大きな口を開けて猛スピードで迫って来る。2匹の右側に走り込み、聖剣レリティアルソードでまず1匹の首を斬り落として倒す。倒した頭にもう1匹が体当たりしてクラウドへ飛ばして来る。クラウドがそれを縦に斬ると二つに分かれた頭の間から飛び出して来る!そのままクラウドは振り下ろした剣を斬り返して頭を斬り倒した。
--まだまだ余裕だな。
テリクラブド竜を・・・・10匹・・・・・20匹と増やしていく。15匹目から攻撃を受けそうになった為に風高速移動を使いだす。かなり大きく作った檻であったが20匹生み出すと、内部が狭くなってしまった為、全てを倒した所で訓練を終了した。
--今日はもう遅いから、戻ってお風呂に入ってから晩酌でもして寝よう。
クラウドが皆の訓練場に戻ると3人はくつろいで温かいミル茶を飲んでいた。
「皆、訓練どうだった?」
「アテナの強さが分かりましたわ・・・。アテナが一瞬で殆どの魔物を倒して私達の訓練にはなりませんでしたわね。」
「・・・ごめん。」
「そうか。じゃあ、アテナ。明日は自分と一緒に訓練しようか。」
アテナがコクッと頷いた。
・・・リグアンドの屋敷に戻ってクラウドが先にお風呂に入ったあと、3人が入った。
「このお風呂、かなり模様が凝っていたね。なんか、小さい滝もあるし。」
「そうですね。綺麗でした。」
「クラウドと入りたかったですわ。」
「まぁ、アテナが居るから。また、今度ね。」
「・・・一緒に入れる。もうすぐ身体も大人・・。クラウドの妻もオッケー・・・。」
「クラウド、アテナも妻にしますの!?」
「いやいや!小さい子供なら皆お父さんと結婚したいって言うじゃないですか?それですよ!」
「む!子供じゃない・・・。約束した!・・・。」
「これは、仕方ありませんわね。約束したのであれば守りませんと。アテナ!でも私が第一夫人ですからね。」
「・・・分かった。」
「えぇ!!?いやいや、無理がありますって!アテナは子供ですから!いずれ大人になったら好きな人が出来るから!」
アテナはクラウドに抱きつく。
「好きな人・・・。」
「クラウド様!アテナが大きくなって、それでもクラウド様の事を真剣に好きな様でしたら、責任取ってあげて下さい。」
--しまった・・・大変なことを約束しちゃったなぁ~・・・・。アテナの両親を探して、両親の愛情を受ければ熱も冷めるだろうか?
「取り敢えず、今日は遅いので寝ましょう。」
「「「はい(コクっ)。」」」
クラウドが部屋で晩酌していると、シルティアとユリアがノックしてクラウドの部屋に入ってくる。二人は胸元が色っぽいワンピースを着ていた。
「クラウド、アテナは寝ましたわ。晩酌に付き合っていいかしら。」
「いいですよ。テーブルも椅子も一人で使うには大き過ぎますね。」
クラウドの部屋には中心に豪華な長テーブルとソファーが二つある。クラウドはソファーの端に座っていた。
「クラウドはソファーの中心に座って下さい。」
「え、ああはい。」
クラウドを挟む様に右隣りにシルティア左隣りにユリアが座った。
「あの、二人とも近いんだけど。ソファーの端、大分余ってるよ。」
「嫌ですの?」
「いや、嬉しいけど。」
「それじゃあ、私達もクラウドにお酒を注ぐので飲んでくださいませ。」
そう言って二人は自分たちのグラスにお酒を入れて口に含むと、そのままクラウドの口にシルティア、ユリアの順に注ぎ込む。両腕には柔らかな双丘も当たっている。
「はい、クラウド。どうぞ・・ん・・。」
「今度は私です、クラウド様。ん・・・。」
--よし!いきなり、突入!!
「「・・・・・・んん・・・・・・あ!・・ん・・・・・・・・・。」」
・・・・・・・時間が過ぎて行く。
次の朝、朝食を食べた後にリグアンドの町を散策する事にした。




