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LUCK   う~ん・・・勇者?  作者: ススキノ ミツキ
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第15話 臨時闘技大会 後編

 クラウドは1番近いバーをマップで確認して進んでいく。相変わらず両脇にシルティア達と腕を組み、柔らかな胸の感触に幸せを感じながら進んでいった。


 ちょっと入り組んだ場所を進んでバーに到着し中に入った。心地よいテンポの音楽が流れ、ダンスをしている人達もいるようだ。カウンターへ行き、飲み物を注文する。


「自分はあっさりとしたお酒を貰えますか?」


「それでは私も。」


「私もそれで。」


「あっさりとした飲み物でしたら当店ではレッドライカがお薦めですが、それで宜しいでしょうか?」


「はい、それを3つ下さい。」


--ん?あの人たちなんだろう?


 クラウドが飲み物を頼んで振り向くと、店の奥の一角に豪華そうな長机とソファーがあり4人の男性と6人の女性が騒いでいる。クラウドがスタッフに尋ねてみる。


「あそこは何か特別な席なのですか?」


「ああ、あそこは貴族の方々とその知り合い専用のVIP席ですよ。あの真ん中にいらっしゃる男性二人が貴族様です。」


「へ~、そうなんですか。」


--ガラが悪そうだし、近寄らない方がいいな。


 クラウドは出来るだけ遠い丸テーブルを見つけて3人で座る。


「中々、あっさりしていて美味しいですわ。」


「そうですね。」


「クラウド、良かったら一緒に踊りませんこと。」


「いやぁ、自分はこんな場所で踊ったことがありませんので、どうぞ踊ってらして下さい。」


「私が教えますわ。ユリアも一緒に。」


「あっ、はい。私もこういう場所で踊ったことがありませんが。」


「私もありませんわ。何とかなりますわよ。」


 シルティアはクラウドとユリアを引っ張っていく。3人は踊り出すのだが、ユリアは踊りを習っていた為に、かなり上手であった。シルティアに至っては誰が見てもプロレベルと言ってよい程、ポップな踊りの中にも優雅さとキレが現れている。クラウドは知らない踊りである為、たどたどしい踊りになってしまっていた。


「フフフ、クラウドったら。そこはこうですわ。」


「こうですか?」


「そうですわ、お上手ですわよ。」


 暫く踊っていると、それを見ていた2人の貴族男性が踊りながら話しかけてきた。


「お嬢さん方、そんな下手くそな男と踊っていると下手がうつりますよ。宜しかったら私達と踊った後、VIPコーナーで10デロもする高級なワインを傾けませんか?」


「あなた達失礼ですわね!お呼びではありませんわ。さっさと消えて頂戴!クラウドの方があなた達より、ずっと上手ですわ!」


「ハハハハハ、こんな下手くそと一緒にして貰っては困ります!それではこう致しましょう。あそこのお立ち台で交互に踊って観客を沸かせた方が勝ちといたしましょう。私達が勝てば一緒にお酒を付き合って頂きますよ。」


「いいですわ!クラウドは負けません!」


「ちょっと、ちょっと!」


 クラウドがシルティアを引っ張っていく。


「自分はさっきも言ったけど、こんな所で踊るのは今日が初めてなんですよ。勝つなんて無理ですよ!」


「クラウドは自分の事が分かってませんわね。グラヌス様の言ったとおりですわ。グラヌス様と闘っている時、クラウドは恐ろしいほどの勘の良さで技術を吸収していたと仰っていましたわ。それが踊りにも適用されると思ってませんでしたけど、さっき一緒に踊ってみてハッキリと分かりました!」


「私も踊りには、かなり自信があったのですけどクラウドには負けます。クラウドは初めてとは思えない程、成長が異常に早過ぎますもの。少したどたどしい所はオリジナルの踊りで適当にごまかせば負けることはありませんわ!」


--確かに前世と比べると、いろんな要領がすぐ分かる気がする。運が良いと勘も良くなる?いや、第六感の方かな?


「もし負けても正体を明かして失礼な言葉を言ったことを謝らせればいいだけです。あんな者たちと一切、席を共にするつもりはありません!」


--えぇ~!?困ったなぁ、その負けず嫌い何とかしてほしいんだけど・・・。ん~仕方ない、踊って負けたら謝って2人担いでダッシュで逃げるかな。


「まぁ、頑張ってみます。」


「話はつきましたか。それでは私達から躍らせてもらいますよ。後でみじめに踊ってください。」


「はいはい、どうぞ。」


 貴族の男二人が躍り出す。ダンスバトルを申し出ただけはある華麗なステップで観客を湧かせる。


「キャ~!レドル様~!素敵~!」


「ボムレル様の方が格好いいわよ!ボムレル様~!」


 10分ほど踊り決めポーズで終わる。観客から拍手が起きている。


「ハァハァハァ・・・さぁ、あなたの出番ですよ。」


--はいはいっと。


 クラウドは2メートルある、お立ち台へ階段を上らず空中へジャンプし回転しながら降り立つ。


「「「「ピュ~~~~~!!」」」」


「「「「「ワァ~~~~~!!」」」」」


 喚声が客席から上がる。


「ふん!あんなもの、ただの見世物だ。これからだよ、恥をかくのは。」


--え~と、こうだったよな。こうしてこうして・・・・・・知らない所はこんな感じでオリジナルっと・・・よっ・・・。


「うっ、上手い!?なんだ、さっきまでは下手な演技してたのか?騙しやがって!」


「クラウド上手ですわ!勝ってますわよ!」


「クラウド様~!格好いいです!」


--う~ん、でもこれじゃあ完全に勝ってるとは言えないよな・・・昔覚えたあれ、今なら踊れそうだしやってみるか。


 クラウドは前の世界で、家から出ると命の危険がある為に極力、家に篭る様に過ごしていた。その時、クラウドの中で最高のダンサーと憧れていたダンスの振り付けをビデオで何度も繰り返し見て覚えるが、身体能力が足らず踊れていなかった。


--よし!リズムは音楽の倍ぐらいでと・・・はっ・・ほっ・・・タッツッツ・・・タッッタッッタッッタン!ドドタドシャン・・・シッツッツ・・・・・・・・・・・・・・ッツッツ、タッッタッッツ・・・・・タタタタタタタタッタ・・・・・・・スタッっと!・・完!・・璧!


 踊り終ると店の音楽のみが鳴り響く。人が居なくなったと勘違いするほどである。


--しまった!やり過ぎた!?それともこのダンスはこっちの世界では


「「「「「「「「「「・・・ワァ~~~~!!」」」」」」」」」」


--おぉ~!?ビックリした!


 クラウドの周りで歓声と拍手が鳴りやまない。二人の貴族はお供を連れて逃げる様に出ていく。周りでは「あれは何処の踊り師だ。有名な踊り師なんだろ!サプライズゲストか!?」や先程、レドルやボムレルを応援していた女性も「最高!あれは何処の踊り師なの?なんていう方!・・・まぁ、良いわ。ブルー様~!最高~!」と叫び出す。


 それに釣られて周りへ広がっていく。


「ブル~様~!ピュ~~~!」


「「「「「ワァ~~~!ブルー!ブルー!ブルー!・・・」」」」」



--またか・・・・よし!逃げよう。


 クラウドはシルティアとユリアの傍へ降りる。


「シルティア、ユリア行きましょう。」


 クラウドはシルティアとユリアが褒めるのを聞きながら手を引っ張って店を出ていく。その際、周りからサインや握手を求められるが、笑顔で会釈をしながら通り抜けていく。


「クラウド凄かったですわね!あれは何ていう踊りなんですの?今度私にも教えてもらえるかしら。」


「本当~に!格好良かったです!私もブルー様~!って叫びそうになりました!」


「ユリアそれは止めて・・・。」


「フフフ。」


 入り組んだ道を屋敷に戻る為に進んでいくと、先程逃げ出した貴族二人とそのお供二人が道を塞いでいた。


「よくも先程は恥をかかせて頂きましたね。」


「あなた達が勝手にかいた恥ですわね。」


「ふん!それでは貴族に楯突いた事を後悔して頂きましょうか。ゲルト!ジャルジ!出番だぞ!女二人は顔に傷をつけるな!後で一緒に酒盛りする予定だ!」


「あらあら、親切な逆恨みですわね。」


「余裕がっていられるのも今のうちだぞ!なんせ、この二人はギルドランクBなのだからな。」


「そうですの、では手加減してあげますわ。」


「シルティア?」


「クラウドが出るまでもありませんわ。下がってらして!ユリアはどうしますの?」


「クラウド様を侮辱した事を後悔させます!!」


「そうですわね!」


--まぁ、シルティアもシャアラ様に鍛えられてるのもあってLV42と高いし大丈夫かな。向こうは二人ともまだLV20台後半だしな。念の為、二人に分からないように薄くゴッドグランシーズの防御をかけておくか・・これでよしと。


「お嬢さん方には悪いけど、依頼主には逆らえなくてね。行きますよ!」


 ゲルトがシルティアに向かって剣を振る。シルティアはそれを余裕で避ける。


「遅すぎますわ!」


 剣を避けられたゲルトはニヤリと笑う。ジャルジがゲルトの背後から痺れ薬を塗った吹き矢を取り出してシルティアへ吹き出す!


「出ない!?なんでだ!」


 ジャルジが吹き矢を取り出した瞬間にユリアが氷魔法で吹き矢の筒を詰まらせていた。


「ユリアも中々やりますわね。でも吹き矢が飛んできても余裕で避けられますわよ・・っと。」


 シルティアは、そう話しながら隠れて唱えていた雷魔法スルドをゲルトに叩き込む。バチバチという音と共に煙を上げながら倒れる。


「そっ、そんな馬鹿な!こうなれば・・・グルトス・・」


「遅い!アイスロック!」


「グホッ・・・。」


「なっ、お前達!私達は二等貴族様だぞ!後でどうなるか分かっているのか!?」


「貴族、貴族と五月蝿いですわ!あなた達こそ私が誰だか分かってますの!」


「ちょっと失礼。」


「もご・・・何をしますのクラウド。」


 クラウドはシルティアの耳元で小さく話す。


「王女が町に頻繁に出てる噂が流れても困るから。」


「ん~、それもそうですわね。」


「何をごちゃごちゃ言っているんだ!」


「・・・あなた達、二等貴族と言っていましたわね。」


「そうだ!ようやく逆らった愚かさを認識したか!」


「ここにいるユリアも貴族ですわ。しかも一等貴族です。あなた達の家名を聞いておきましょうか?後ほどしかるべき処置をして差し上げますわ!」


「えっ!?嘘?・・も、申し訳ございません~!お許しください~!」


「さぁ、家名を言いなさい!」


「「どうかお許しを~!」」


 二人の貴族が土下座している。


「まぁ、良いですわ。ただし、あの店で今度見かけたらタダじゃおきません事よ!」


「わ、分かりました~~!ひぇぇ~!」


 二人の用心棒を残して走り去っていく。


「この倒れてる二人どうしようか?」


「放っておけば宜しいですわ。ちゃんと私もユリアも手加減してますもの。少し経てば目を覚ましますわ。」


「じゃあ、屋敷に戻りましょうか?」


「あまり飲めませんでしたし、お酒とおつまみを買って帰りませんこと。」


「分かりました、まぁほどほどに。確か帰る途中に売っていましたね。」


 クラウド達はお店に寄ってお酒とおつまみ、朝ご飯用の買い物をして屋敷に戻った。


 家に着いてお風呂に入った後、チェキデアの残りを出し、先程買ったおつまみとお酒を飲んでいた。シルティアは現在3杯目である。


「それにしてロ、今日のクラウドは格好良かったレスはわね。」


--あれ、シルティアまた早くも酔ってる?


「本当ですね。でも、格好良すぎると誰かに取られないかと心配になります。」


「大丈夫レスわ。これだけの美女が二人も居て誰かに取られるなんてあり得まシェんわ。ショウですわヨね。クラウド、はい・・・チュッ・・・ん・・・んん・・・ん・・。」


「はい、今度はユリアの番でシュわよ。」


「はい。クラウド様お願いします。チュッ・・・ん・・ん・・・ん・・・・。」


「準備は整いまシュたわ。さぁ、行きまシュわよ。」


--準備?


 そう言うとクラウドとユリアを引っ張って寝室へ向かっていく。扉を開けるとベッドに両手を着いて、こちらにお尻を向け綺麗なスラッとした足を広げて逆Vの字を作る。


「シルティア?」


「何をシュてますの?ユリアもシャッシャと来て右にセットしなシャい。」


「あっ、はい。」


 ユリアもシルティアの右側でベッドに両手を置いてお尻をこちらへ向け足を広げる。


--えっ、ユリアも素直に従わなくても良いのに。理性・・理性・・・無理です。突入!


「「あっ・・あん・・・・・・!」」


・・・・・・・・・・・・時間が過ぎて次の朝を迎える。


「クラウド!起きてくださいませ!朝御飯が出来ましたわよ。」


「おはようございます。・・チュッ・・チュッ。」


 起きて食卓に着く。


「凄いですね。これ、お二人で作られたのですか?」


「私は手伝っただけですわ・・・。でもいずれクラウドの為に美味しい料理を作れるように努力しますわ!」


「はい、楽しみにしてます。」


「フフフ、チュッ。」


「あっ、ずるいです。私も・・・チュッ。」


--幸せだなぁ~~。いけない!今日の闘技大会、遅れない様にしないと。


「頂きます。モグ・・・ん~、美味しい!」


「良かったです!」


 クラウドは朝御飯を食べ終わり闘技場の控え室に向かう。・・・・・到着すると控え室は煌輝紋章石ホルダーであるクラウドのみ個室であった。


「クラウド体調はどうだ。」


 ユイアレスも控え室に来ていた。


「問題ないよ。」


「そうか、まぁ体調が悪くてもクラウドに勝てる者などおらぬだろうがな。相手は14チームあるが流石に全てを相手にする時間は無いのでな。一斉に2チームで試合をして貰って、勝ち残った7チームをクラウドに一組ずつ相手にしてもらう。それまでは時間もある。ゆっくりと観覧でもしていてくれ。」


「分かった。」


--取り敢えず便利そうなスキルや魔法を真眼で見させてもらって覚えておこうかな。


 クラウドは観覧席に向かった。


--おっ!今から始まりそうだ。


「それでは只今より、煌輝紋章石を目指して闘って頂きます。チーム全員が戦闘不能となるかチームの一人が負けを認めた時点で勝者が決定致します。最終的にはクラウド様に勝ったチームと、その主である方に煌輝紋章石が授けられます!それでは宜しいでしょうか?・・・始め!!」


 一つのチームは2人の剣士が前衛攻撃を開始して2人は防御魔法で2人の剣士に防御魔法プロテレーデを構築している。最後の2人は攻撃魔法のファイヤーアローを構築していた。


--このチームはバランス型だな。


 それに対してもう一つのチームは4人が身体の1部を強化させるパボアプを構築していた。1人の剣士はこれも身体強化であるスキルのドパドを使っている。


--なるほどな、剣士1人がスキルの身体強化で2人の剣士を相手している内に4人が1人の剣士に更に身体強化を構築して攻撃するのか。お!?強化魔法唱え終わったみたいだな。


 大臣達が驚いている。


「「「「「おぉ~~~!速い!」」」」」


--ん~?確かにレベル25にしては速いね。剣士専門で鍛えてレベル38ぐらいの速さにはなってるかな。他のチームはと・・・う~ん・・次々と魔法とスキルはゲット出来そうだけどグラヌス様と闘った時程の得る物はなさそうだな・・。


 身体強化された剣士が次々と一瞬で倒していく。相手チームが全て気絶した所で試合は終了となった。


「そこまで!勝者ベイヘルトチーム!」


 倒されてしまったチームが救護班により手当てを受けている。


--なるほど回復魔法のトアセールね、一応覚えておこう。


 午前中にクラウドへの対戦チームの6チームは決まり残り1チームは午後に決まる為、ユイアレスと共に食事をすることにした。


「午前中見たチームだけであれば、何か隠していようとクラウドの敵ではないな。」


「ユイアレス様の仰る通り、流石クラウド殿でござる。」


 ケイシスはそれを聞いてウンウンと頷いている。


--ケイシスさん、ここでもウンウンなんだね。まぁ、良い意味でのウンウンで良かった。


「当たり前ですわ。クラウドに勝てる者など、いる筈がありませんわ!戦闘でも踊りでも!」


--シルティア~~~!!余計なことを言わないで~!あっ、ユイアレスの目が光ってる!?


「何?踊りとは何だ!?シルティア。」


--はい!食いつかれました。


「お兄様!凄いですのよ!クラウドが踊ると、それはもう格好いいのですわ!踊りに自信があった私より遥かに上手ですの!クラウドを知らない周りからは「ブルー様~!」って叫ばれてましたもの!」


--あ~あ・・・言っちゃった。


「何!?私抜きでそんな楽しい場所へ行っておったのか!それにしてもブルー様か・・・・クッ・・クッ・・クッ・・、今度行くときは私も誘ってくれ。」


--はいはい・・・笑ってるね。


「何言ってますの!?お兄様!妹のデートを邪魔するものではありませんわ!」


--ナイス!シルティア!


「うむ、そうか・・・。」


「クラウドの踊りが見たければ今度、舞踏会を城で開けば宜しいのですわ!」


--えっ!?え~~~!?シルティア余計なことを言わないで!


「それもそうであるな。ではクラウドがグラディアル帝国から戻って来てから、シルティアとの婚約発表を兼ねて舞踏会を開くとしよう。クラウドはこれから大変だな。煌輝紋章石ホルダーでイケメンと来れば貴族連中からシルティアとの婚約後も見合いの話で忙しくなるぞ。」


--何それ!?というか王子の方がイケメンでしょ。


「ちょっと待って!ユイアレス!今度踊りには付き合うから、舞踏会はやめて欲しい。自分にはやらないといけない事があるんだ。婚約発表するのであれば、その後にして欲しい。」


「そうか、そういえば一昨日も一緒に飲んでおる時、そんなことを言っておったな。一体それは何なのだ?私も友として力になるぞ。」


--これはもう隠せないかな。


 クラウドは自分が異世界から女神エステナに呼ばれて来た事、エイ・デファーリスと他の異世界に危機が訪れている事。その原因は魔王の上にいる魔神によるもので自分はそれを倒しに来たことを話す。


「何だと!?何故そんな大事なことを黙っておったのだ!このところ大変な事ばかり起きているのも、それが原因なのか!?」


「まだ、自分は魔神に敵わない気がする。だから、力をもっと沢山つけてから話をしないと、皆が混乱すると思ったんだ・・。」


「確かにな・・・。皆!この事は他言無用だ。ここの6人以外と絶対に話すでないぞ!父上には戻り次第、相談することになるがシャアラ殿とグラヌス殿には話しておいた方が良いな。」


「ごめん・・・。」


「クラウドが謝ることはない。しかし女神様より使わされた救世主様であったとはな。これでは私の方がクラウド様と敬語を使わねばならぬな。」


「ユイアレス!友達だから敬語は無しって二人で決めたんだから、やめてくれ!」


「そうであったな。私の苦しみを味合わせるところであった。済まぬ!私たちは友だ、敬語は無しにしよう。」


「分かってくれたらいいよ。」


「しかしそうなると、クラウドを代表で派遣している時間などあれば、遺跡巡りなどで鍛錬して貰う方が良いのか?」


「いやっ、先ほど言ったとおり女神様から魔神の力が強まっていることを聞いたんだけど、今回の止めに行く戦争にも関与している気がしたんだ。だから自分が行く方がいいと思う。」


「そうなのか、分かった。では、何としてもクラウドには勝ってもらわないとな。済まぬな、世界の危機であるのに王国の面倒事に巻き込んでしまって。」


「友達だろ!固いこと言うのは無しで!それに鍛錬にもなるよ、きっと!」


「うむ、分かった!出来るだけ王国としてクラウドを補助出来る様に努める。必要な物は気軽に言ってくれ!こちらで用意するでな。」


「それならこの試合が終わって次の朝には移動しようと思ってるのだけど、移動用に用意して欲しいものがあるんだ。」


「精鋭部隊と装甲馬車は、すでに手配済みだぞ。」


「いやっ、自分の勘で申し訳ないけど、それでは戦争を止めるには間に合わないと思う。そこで用意して欲しい車があるんだけど。舵で前輪の角度を変えれて進行方向を決めれる、足回りのしっかりとした車でお願いしたいんだ。あと車の上に頑丈な帆を付けて欲しい。それと・・戦争に巻き込まれる可能性があるから一人で行こうと思っている。」


--車はゴッドグランシーズ装甲で行けば安全だろうし。空から行くっていう方法もあるけど、他国の代表が歩いて来ましたっていうのもな・・・。正直に空から来ましたっていうのも怪しまれそうだし。でも、間に合いそうにない時は飛んで行くことにしよう。


「シルティア、ユリア待ってて欲しい。」


「いやですわ!私は絶っ!対!離れません事よ!クラウドを心配して待っているなんて性に合いませんわ!」


「クラウド様!私もです!置いて行かれても追いかけます!」


「そうですわ!追いかけますわ!」


--困ったなぁ。ユイアレス・・後ろで笑わない!聞こえてるよ。


「・・・分かった。ただし、危険だと思った時には指示するから、それに従ってくれる事。」


「分かりましたわ。」


「はい、分かりました。」


「しかし馬を使わず帆を付けるという事は、帆船の様に風魔法ででも進もうというのか。まぁ、クラウドの魔力であればそれも可能だろうな。分かった!すぐに用意させよう。」


 クラウド達は昼食を取り終えると兵から、そろそろ始まるという連絡があり移動する。


「それでは午後からの臨時闘技大会を始めます。両チーム準備は宜しいでしょうか?」


「それでは・・始め!!」


 最後のチーム対戦は1チームがバランス型チームで、もう一方のチームは、全員が黒いフードを被り仮面を着けていた。クラウドはスキルと魔法を得ようとして真眼を発動し異変に気付く。


--ん!?あの仮面チーム・・・4人が魅了で操られてる、もしかしたら・・・。


「ユイアレス、一昨日襲ってきた連中だけど、あの仮面チームが関係しているかもしれない。あの中の4人は操られてるみたいだ。」


「ふむ、あのチームは魔法大臣のデントルが主のチームであるな。決めつけるのは早いがデントルが黒幕かもしれぬ。クラウドも気を付けておいてくれ。」


「分かった。」


 試合は仮面チームの4人が身体に深い傷をつけられ大量の血を流していても全く怯まず戦い、その間にリーダーが中級土魔法グスボロダで大量の石つぶてを相手チームに飛ばして勝利した。


 これでクラウドと闘う7チームが決定することになるのだが、クラウドと闘う順番は後の方が有利である為、クジで公平に決める事になっている。仮面チームは最後の対戦となった。


--ん~?これも何か細工でもしたのかな?もしそうだとしたら前回を含め、かなり卑怯な奴だな。


 クラウドはそんなことを考えながら闘技場へ上がる。


--いけない・・自分の闘いに集中しないと。


「それではクラウド様とベイヘルトチームの試合を始めます。準備は宜しいでしょうか?それでは~~、始め!!」


--なるべく、後で突っ込まれ無い様な感じで闘って勝たないとな。ゴッドグランシーズの鎧は見えない様に薄めで、剣は買ってきた通常の鉄剣でと。風高速移動も止めておくかな。


 ベイヘルトチームが身体強化スキルのドバドを使って向かって来る。それをクラウドは見切り、剣で防いだり軽々と避けている。


--取り敢えずこのチームはベイヘルトが一番速くなった所で勝つとしよう。


「流石に煌輝紋章石ホルダー様という所か。でもこれからが本番だ!」


 他の4人がパボアブを唱えて更に速くなるがクラウドは、またもベイヘルトが振る剣を軽々と避け続ける。


「「「「「おぉ~~~~~!速い!」」」」」


 またも大臣達が驚く。


--そろそろ倒していいかな。でもまだ何か隠している気がするんだけどなぁ・・・。


 ベイヘルトがニヤリと笑い、身体強化スキルのドパドを超えるドパダクストを発動する。ベイヘルトはクラウドの背中に回り込む!


「取ったぁ~~~!!」


 ベイヘルトはクラウドを斬った。だが、その感触は空を斬るが如くであった。斬れたのはクラウドの残像のみである。クラウドは一瞬で剣を振り下ろしているベイヘルトの背後に立ち、剣の柄で衝撃を与えてベイヘルトを倒した。ついでに回り込みながら真眼も発動してドパダクストのスキルも得ている。大臣達の顔が強張る。


「馬鹿な!あの速さでも勝てないのか・・・。」


--さて、あとは他の4人っと。あれっ?


 他の4人は身体強化要員として集められたらしくベイヘルトが倒れると降参のサインを出していた。


「そこまで!勝者クラウド様!」


 クラウドは休む時間を10分与えられる。メイドが持ってきた飲み物を鑑定するが問題はなく、飲み干した後に闘技場へ戻った。


「それでは2チーム目、前へ!」


 2チーム目の前衛二人は狼と犬の獣人族である。他の3人は普通の人族でありながら、何故か魔法を強化する杖も武器も持っていないのだが茶色の壺を抱えている。ちなみに獣人族と言っても顔は普通の人間で足の甲、手の甲と背中が毛深く、動物の耳と尻尾が付いている。動きは普通の人族より力、素早さが優れていて殆どの獣人族が頑丈な身体を持ち、スキルを中心に闘う事が多い。


 スキルと魔法の違いであるが体外で魔法を構築するか、体内で魔法を構築するのかの違いである為に、スキルは身体に及ぼす効果のある物が多い。


「それでは~~~、始め!!」


 前衛の獣人族の二人が素早い動きで連携を取りながら、鋭い爪で攻撃しようとする。


--なるほど、ここは体術の訓練と行くかな。


 クラウドは剣を床に置く。二人が攻撃してくるタイミングや技をじっくりと見て真似てみるが中々当たらない。


--手加減しながら当てようとすると結構難しいな。


「馬鹿め!我ら獣人族に体術で挑むなど!てや!・・・・はっ!・・・とや!」


 二人の獣人族がクラウドに手刀、回し蹴り、パンチ、キックをフェイントを混ぜながら叩き込もうとするが全て見切られてしまう。


--なるほどね!このタイミングか!う~ん、それにしても、後の3人何してるんだ?


 二人の獣人族がクラウドの相手をしている内に、茶色の壺から粉を蒔いて魔法陣を描いている。クラウドは真眼で出来上がった魔法陣を確認する。


--へ~、これでストーンゴーレムの召喚が出来るんだ!?


 クラウドは獣人族が攻撃しているのを避けながら真眼を発動してストーンゴーレムの召喚術を覚える。召喚術は強力であるが大量の魔力が必要なため、複数の者で構築したり、魔力を宿した砂で魔法陣を描いて足りない魔力を補う。


 3人で魔法陣に魔力を注ぎ込んでいる。・・・少し時間が経った後、魔法陣から体長3.5㍍程のストーンゴーレムが現れる!


「おぉ~~!?たった3人でサンドゴーレムの上位のストーンゴーレムを召喚出来るなど!?」


 大臣達がどよめいている。クラウドは獣人族を見て覚えた体術で二人を手加減しながら闘技場の外へ吹き飛ばす!


「グハッ!馬鹿なぁ~~~!」


「グエッ!」


 その後、3人と一体にクラウドが振り向くとストーンゴーレムを召喚出来て勝利を確信していた3人に不幸が訪れる。クラウドが無詠唱で3体のストーンゴーレムを召喚していく。


「「「そっ・・・そんな!?」」」


 3体のストーンゴーレムに襲われた1体のゴーレムは成す術もなく、粉々に砕かれてしまう。そこで3人の内の1人が降参してしまう。大臣達は声も出ない・・。


「そこまで!勝者クラウド様!」


 クラウドが少し休憩を取り次の試合が始まる。

 

「それでは始め!!」


 次のチームは5人の魔法使いであった。クラウドを近寄らせない様に、次々とそれぞれが魔法を構築していく。大臣達は「おぉ~!あんな高度な魔法を!」と、ざわついている。


「・・・ツレオツォ・・・ファイヤーアロー!」


「・・・・・・・・・クマヴォス・・・グラヴィティ・・・テルスト!」


「・・・・メスタット・・ヒア・・・サンダーファング!」


「・・・ラルガ・・・・・・・ホーリー・・・アーム!」


「・・・・・・フェアー・・・レド・ギバイド!」


--なるほど、速く唱えれる魔法を混ぜて隙を埋めながら全員が魔法を唱えるのか。


 クラウドは全ての魔法を一瞬で覚えて、覚えた魔法を無詠唱でそっくりそのまま構築しドーン!バチバチ!ヒャシュ!ギヤン!!等の音を立てて全ての魔法を相殺していく。


「馬鹿な!?我らの自慢の魔法を全て無詠唱で返すとは!?一体いくつの魔法を覚えているというのだ!?」


--覚えていたのではなく今覚えたのです。御馳走さま。


「無駄口叩いている暇があれば次の魔法を構築しろ!」


「う・・・うむ。」


 クラウドは次に向かってきた魔法も全て同じ魔法で相殺していく。それを5度繰り返した後の5人の魔法使いは降参もせず膝を落として、うな垂れている。


「試合放棄とみなします!勝者クラウド様!」


 大臣達がどよめく。


「これ程、一方的な試合展開になるとは!?まさか、魔術がシャアラ様に匹敵するという噂は誠であったのか!?」


「しかし・・・先程は素晴らしい剣術と体術を披露しておったぞ!まさか剣術はグラヌス様に匹敵するのでは!?これではユイアレス様が煌輝紋章石を与えるのは当然であるな。」


「何を言う!まだ分からぬ!自分のチームが負けたからとあって、後の試合は無効とは言わせぬぞ!」


「そんな事は言っておらぬ!ただ見てみよ!残り4チームの内の3チーム、闘う前に降参のサインを出しておるぞ。お主のチームではないのか?」


「なっ!?何をしておる!!闘う前に降参など許したつもりは無いぞ!さっさと闘わぬか!!あれ程、勝つ自信があると申しておったではないか!!」


 怒号むなしく3チームは降参してしまう。剣術、体術、魔術、それに加えて召喚術まで使われ、クラウド自身に一切の疲れも見えないとあれば万が一でも勝てる可能性は無いと判断したようだ。


「最後の試合前に休憩を挟みたいと思います!」


 相手チームとクラウドに飲み物が渡される。


--やっぱり来たね。ブアデファの花粉から出来た毒薬ね。即効性の毒薬でかなりの腹痛と高熱が出ると。・・・こんなの飲ませるんだ、酷いなぁ。これで、まずかったら後で覚えておいてね。


 クラウドはユイアレスに毒薬のサインを出して、ワザと皆から見えやすい場所に移動して半分ほど飲む。魔法大臣のデントルのみが、それを見てニヤリと笑う。


--美味しい!意外とこのジュース凄く美味しいではないですか?飲み干してしまいたい・・・。


 ユイアレスが派遣した者がクラウドのジュースを持って去って行く。


--あ~~!持って行かれる~!もうちょっとだけ飲もうと思ったのに・・・。


「それではクラウド様と最後のチームであるドルトワーグチームとの試合を行いたいと思います。それでは~~、始め!!」


--まずは操られてる人を怪我させない様に退席して貰おうかな。


 クラウドは一斉に襲い掛かって来た4人の攻撃を全て避けながら体術で1人ずつ場外に吹き飛ばす。落ちる箇所にはゴッドグランシーズのクッションを用意した。吹き飛ばす瞬間には魅了も解いてある。


「流石ですねぇ~!あいつらも名の知れた中々の者ですのに。しかし、あなたは私には勝てませんよ。何故なら、あなたは今から操られるからです。」


「この前襲ってきた連中はやっぱりオマエの仕業なんだな!罪のない人を操っておいて殺すなんて!」


「・・・・フハハハ!ばれている様ですね。しかもその元気な様子、期待していませんでしたが毒薬は飲んでないみたいだ。まぁ、どうせ貴方は私の手駒となる身です。特別に教えてあげましょう!そうですよ!アイツ達を操ってドロイを殺し、足が付かない様に自殺して頂きました。」


「人の命を何だと思ってるんだ!」


「私は神に選ばれたのです!本来魔族しか覚える事のない魔眼スキルを通常の人族の私が覚えれたのです。」


--え?自分も覚えれたけど。


「私は気付いたのです!今はまだ5人までしか操れませんがレベルを上げ、それを増やしつつ自分の国を築け!との神の御意思なのです!ただの人など、私には小石の様なものです。もういいでしょう、そろそろ私の野望の為に倒れてもらいますか。・・ふん!・・・そこでじっとしているのですよ!」


 ドルトワーグの目が怪しく赤く光る。ゆっくりとクラウドに近付き傍まで来ると高く剣を掲げて振り抜く。


--よっと。


「何!?何故動ける!かかりが浅いのか・・ふん!!」


--何?そのふん!!って、ユイアレスに笑われるよ。


「そこを動くなよぉ~、てやっ!」


--よっと。


「何故だ!?何故掛からないのだ?くそっ!・・ふん!ふん!ふん!ふふん!ふ~~ん!!」


--そろそろ、このいろんな意味で危ない人の魔眼は封印させて貰おう。本当は真眼で人を操ったり苦労して覚えた人の魔法やスキルの封印するのは、あまりいい気がしないけど、このまま放っておくと又犠牲者が出そうだし。


 クラウドの目が銀色に変わると同時にドルトワーグの赤い目は普通の黒目に変わる。


「え~と、それで終わり?それじゃあ、行くよ。」


「馬鹿にするなぁ!私はドルトワーグ様だぞぉ~~!」


--知ってますって。


 クラウドはドルトワーグが魔法を唱えようとすると同時に剣の腹で肩に衝撃を与え昏倒させた。


--罪は償ってもらうよ!さて、向こうもクライマックスかな。


 高い位置にある観覧席ではユイアレスが魔法大臣のデントルを問い詰めていた。


「デントル!この器に見覚えがあるであろう。」


「いきなり何のことを仰っているのでしょう?」


「では、これを飲んでみるがいい!」


「何故私がその様なものを飲まなくてはならないのでしょうか?」


「私の命令だ!早く飲むがよい!」


「くくくく、嫌ですな!私がせっかく立てた計画で、あのお方に沢山の命を捧げようと思っておったのに邪魔しおって!」


「デントル!もうお前は終わりだ。大人しく捕まるがよい!」


 衛兵達がデントルを取り囲む。デントルは胸にしまっていた、どす黒い心臓を天高く掲げる。


「魔神デクロノギアス様!~~~!!私の命を捧げます!!」


「何!?」


 掲げた黒い心臓から怪しげな黒い霧が出て来てデントルの身体のあらゆる場所から血を吸い込んでデントルはミイラと化していく。


「いかん!あいつを早く取り押さえろ!」


 衛兵達とユイアレスが近づこうとした瞬間、空から黒い稲妻が掲げた黒い心臓にドォーン!!と落ちる。ユイアレスとアトス、衛兵達は衝撃で吹き飛ばされる。少し離れていたシルティアとユリアも吹き飛ばされていた。


「「キャ~~~!」」


 デントルは黒い炎を噴き上げながら観覧席から真っ逆さまに落ちて行った。


「くっ、どういう事だ!?魔神デクロノギアスだと!」


--ん?何だ!あの稲妻!皆大丈夫か!?


 一瞬でクラウドは観覧席へ移動する。


「皆!?良かった!・・・。」


 吹き飛ばされていただけで全員無事であった。衛兵達は近くにいた為に少し傷を負っているが、特に問題ないようだ。


・・少しして闘技場に禍々しいオーラを纏った12㍍程の巨大な魔物が現れる。曲がりくねった角を生やし目は4つもある。全身を剛毛で覆われ20本の大蛇の尻尾はクネクネと蠢く。


「グハハハハ~~!ドウダ、コノミナギルチカラとマリョク!シャアラもグラヌスも敵デハナイワ~!キサマラ全員ノ命ト王国ノスベテノ者ヲ、アノお方ニササゲテクレル!ハハハハハ!」


「あれは・・・デントルなのか?」


 魔物に変化したデントルは観覧席の全員を4つの目で睨みつける。大臣達と二人の王子は我先と奥への階段へ逃げようとするが全員が先に行こうとして、出入口で動けなくなっている。


「ミニクイヤツラメ!シネ~~!」


 デントルは大きな腕を上部から観覧席へ振り下ろす。それをクラウドはゴッドグランシーズで大きな手を作ってゴォッ!!という音と共に受け止める。その後ろではユイアレス達が防御魔法を構築していた。衛兵達は魔法で攻撃していくがデントルに全くダメージを与える事が出来ていない。大臣達は悲鳴を上げて腰を抜かしてしまう。


「コシャクナ~!」


 デントルは両角の間に大きな魔法陣を生じさせ、そこから捻じれた巨大剣を召喚していく。


「ドウダコレハ、フセゲマイ!」


 デントルが大剣を生み出している間にクラウドは天高くデントルの頭上ヘジャンプしてデントルが召喚した巨大剣よりも更に大きなゴッドグランシーズの剣を構築し振り下ろしていた。


--大きく!重く!鋭く!このぐらいでいいかな。


 デントルが頭上のクラウドに気付く。大剣でクラウドの剣を受け止める。ガーン!という轟音が闘技場に鳴り響く。


「グヌヌ・・・ニンゲンデアルノニ、ナントイウチカラダ!!ググ・・・マ!・・ケ!・・ヌ!!」


--あれっ!?手加減し過ぎた!?重く!重く!鋭く!鋭く!!


 少しずつクラウドの剣がデントルに食い込み始め、どんどん加速していく。


「アベッッ・・レレ・・・・リ・・。」


 デントルは巨大剣もろとも真っ二つに裂かれる。そのまま闘技場も真っ二つにしてしまった。


--あっ!今度はやり過ぎた!?


 それを見た大臣の一人から歓声が上がる。


「おぉ~~!!流石クラウド様!クラウド様万歳~!!」


 他の大臣達もデントルを倒したことに気付いて歓声を上げる。


「「「「「「「クラウド様万歳~!!」」」」」」」


 二人の王子以外は既にクラウドを煌輝紋章石ホルダーとして認めている様であった。魔神の話は逃げる事に必死でどこかに飛んでしまい、この後話題に上がることは無かった。何が来ても巨大な魔物を一撃で倒したクラウドがいれば安心と思っている様だ。


 クラウドは倒した後でユイアレスの所へ、駆け上がる。


「ユイアレス、ごめん。闘技場を壊して。」


「ククク・・・何を言うかと思えば国を脅かす様な巨大な魔物を倒しておいて第一声がそれか。クラウドらしい。闘技場は直せば良いことだ。それより又も国を救ってくれたことを感謝する。あと、気になることがある。ここでは話せないので場所を変える事にしよう。」


「分かった。」



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