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プロローグ raison d'etre
第4章開始です。
頂が雲に隠れている山脈、橋も架けることのできない大河、どこにつながっているとも知れない海、それらがなぜこの世界に存在しているのか。
その存在理由に対する仮説は無数に存在する。遙か昔に死んだ巨人の背骨が山脈となったと信じる者もいる。大蛇が通った後の窪みが大河となったと唱える者がいる。人間がこれまでに流してきた涙が貯まったのが海だと嘆く者もいる。
ある国の王は、山脈、大河、海は、己の権力が届く範囲を限定する疎ましい存在と捉えた。彼の国の北には山脈が連なり、南には大海原、東と西には大河。その山脈、海、川を越えると、そこは自分の力の及ばない地域。それが我慢できなかった。
そしてある日、山や川や海は、己が挑戦すべき存在なのだと悟った。それらを越え、隣国までも進軍し、自らの覇を実現する。山、川、海は、俺に征服されるべき存在であると…… 。
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