209文字で切り取った世界 ―― 一番小さなストーリー ――
209文字で切り取った世界 ―― 一番小さなストーリー ―― 月
今年の夏は暑い。今夜もまた、同様に
けれども僕はエアコンの電源を切る
なぜって、触れ合った君の躰が震えていたから
月明かりを吸って神秘的なものみたいに光る、
君の白い肌 小さな肩 細い指先
全部に目を奪われる。僕は動けなくなる
なのに唇や、乳房や、それより下の色を帯びた部分を見ると、どうしてか残酷な気分になってしまうのは、自分にも理由なんて説明できなかった
僕の何かが大人しくしてくれない
震える君に優しくしたのは、多分、僕じゃないのだ