一攫千金を狙う男
「大昔に書かれた宝の地図を買ってきたぞ! これで一攫千金だ!」
平日の午後、家でのんびりと本を読んでいたら友人が目をキラキラと輝かせながらそういってボロボロの羊皮紙を持ってきた。昔から楽して金を儲けようとしては痛い目を見ているその友人のいつもと変わらないその様子に私は疑いの目を向け、またかとため息を吐く。
「その紙切れ買うのにいくら払ったの? 前は絶対に当たるレースを教えてもらうのに、その前はギャンブルが絶対に当たるジンクスを教えてもらうのにバカみたいにお金を払ってたよね」
当然その二つはガセネタで彼は気持ちのいいほどに大損をしていた。他にも色々とあったが一々思い出すのもバカらしくなるようなものばかりだ。
だが止めようとしたところで止まらないのは長年の付き合いで分かりきっている。そもそもその宝の地図とやらを買うのにすでにお金を払ってほとんど無一文になっているらしくいまさら止めても意味がないのだ。
私はため息を吐くと本を置いて彼から紙を受け取ると、彼と二人で四苦八苦しながらその古い文字で書かれていることを調べ、パソコンを使ってその地図がどこのものなのかを調べてみる。
すると出てきた場所はいまでも城の跡地が観光地として残るような有名な場所だった。
「おお! 城があったってことは信憑性があるんじゃないか?」
子どものようなその顔をどこか可愛く思いながら私は首を振る。そこは数年ほど前に埋蔵金が見つかったとしてニュースになっていたのだ。
おそらくもうなにもないだろう。
私の言葉に彼はがっくりと肩を落とし呟く。
「クソ、これじゃお前との結婚資金が作れないじゃねえか」
そんなことはどうでもいいから早く告白してほしいのに。