異世界への転生とリサイクルショップ
和馬は、心地よい風を感じながらゆっくりと目を開けた。あたりを見渡すと、見覚えのない部屋に横たわっていることに気づく。木製の床、壁には古びた棚が並び、そこには所狭しと謎の物品が積み上げられていた。
「ここは…どこだ?」
頭がぼんやりとしていた和馬は、無理やり起き上がりながら、ここが自分の知る場所ではないことをすぐに理解した。数分前まで彼は、ブラック企業での過酷な仕事を終えて帰宅する途中だった。しかし、疲れ果てた身体が限界を超え、気を失った瞬間――次に目が覚めたのはこの場所だった。
「あなた、ようやく目が覚めたのね。」
突然、声が聞こえ、和馬は慌てて振り返った。そこには、優雅な雰囲気を纏った中年の女性が立っていた。彼女は落ち着いた微笑を浮かべ、和馬を見つめている。
「ここはどこですか…?僕はどうして…?」
和馬が質問する前に、女性はゆっくりと話し始めた。「ここは異世界。そしてあなたはこのリサイクルショップの新しい店長よ。」
「えっ?店長?異世界?」和馬は混乱し、何を言われているのか理解できなかった。しかし、女性は淡々と話を続けた。「あなたはこの店の新しい管理者として選ばれたの。店には異世界から持ち込まれる様々なアイテムが集まってくる。あなたの役割は、それらを価値あるものに変えていくこと。」
異世界、リサイクルショップ、店長…すべてが現実離れした言葉ばかりだ。だが、現実を逃げ出したいという思いが一瞬心をよぎった和馬は、その言葉に奇妙な魅力を感じ始めた。
「つまり、僕はここで異世界の品を扱って、商売をするってことですか?」
女性は満足そうにうなずいた。「そうよ。あなたがどんな品をどう活かすか、それは全てあなた次第。ただし、気をつけなさい。この世界の物には、あなたが想像もつかないような秘密や危険が潜んでいることもあるわ。」
和馬は立ち上がり、部屋を再び見渡した。棚には壊れた剣や古びた本、見たこともない機械の部品などが無造作に積まれている。どれも、一見ガラクタにしか見えなかった。
「俺がこの異世界のガラクタを宝物に変える…面白そうだ。」
心の中に小さな炎が灯った和馬は、これから始まる新しい人生に対しての期待と不安を胸に秘めつつ、リサイクルショップの店長としての一歩を踏み出すことを決意した。