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私と歪み

作者: 幸村 那珂

私は歪んでいる。

でもそんな歪みはありきたりで、だからこそ

この話を頑張って読んで欲しい。


私は本が好きだった。


だから幼いながらもみんな自分のために生きていることを理解していた。


恋人のためといって、自分がただ依存したいだけ。


こんな仕事辞めてしまいたいといって、転職する苦しみを味わいたくない、そのままお金が手に入る環境を手放したくない、リスクを回避したいだけ。


だから私は自分のために生きようとした。


だけどそれは出来なかった。


みんな私が我儘だといった。


図々しいといわれた。


自己中だといわれた。


そこで本当に私は理解した。


あぁやっぱりみんな自分のために生きているのだと。


周りが幸せになると自分が幸せではなくなってしまうから、


周りの幸せを否定するのだと。


人は相対評価でしか物事を判断できないのだと。


そこから私は人を不幸にし始めた。


そうすることで幸せになって欲しかった。


悪のもとで正義が育っていく様を


悪である私だからこそ、ひしひしと感じることができた。


とても快感だった。




私はいつも人にされて嫌なことはしてはいけないと教わって育った


だから人にしたことというのが、私が許せることだったらなんでもやっていいのだと思った。


私は強欲な知識欲で満ちていた。


たとえその知識が自分の首を絞めることであっても躊躇うことなく実行した。


私は人の気持ちを理解したかった。


あらゆることを知りたかった。


だから私はいじめられたかった。


いじめられていた人の理解できない感情を理解したかった。


だから私は他の人たちを傷つけるようになった。


孤立して私のことをいじめてほしいと思っていた。


そして私は実際に孤立していじめの恐ろしさを肌で感じとった。


嬉しかった。


やってよかった。


どこか哀しい音のする心の底から、そう思った。


そうやって私は歪んでいった。




私はどの人にも私のしていることを強要した。


愛情に飢えていた私は、付き合った彼女に対して


「愛」を与えた。


彼女のためにあらゆることをやってあげた。


だけど彼女は愛はくれなかった。


むしろ優しかった性格は横暴に、


きれいだった心は強欲に、


繋がっていた思いは剥離していった。


そうやって彼女も歪んでいった。


そんなことにも愉悦を感じてしまう私も、歪んでいた。


だから私たちは常に「お似合い」のカップルになった。


初描き

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