夏の雪
今日も窓の外は雪が降っている
8月にこんなに雪が降るのは初めてのことだ
私は半分凍りついた窓をカーテンで見えないようにすると
暖房の温度を上げた
あなたに会いたくなった
私はあなたの連絡先を知らない
部屋の中でゲームをするのに飽きて
気が狂いそうになって来たので
外へ出た
あなたに会いに行くために
誰も踏んでいない新雪の上に
松ぼっくりか何かが落ちたような穴がところどころに空いている
覗いてみるとセミが死んでいた
死んでまもないセミは硬い朝の雪の上に
まるで眠っているようにお腹を空に向けて
みんな死んでいる
夏の太陽の最後の抵抗の跡のように
日陰と日向で雪の厚みが違う
そのうちすべてが平らになるのだろうか
その前にあなたに会いたい
私は雪の上を歩き出した
近所の家の屋根はすべて雪の下に埋まっていた
今はちらついている雪も
そのうち激しく降りはじめるのだろう
私が埋められてしまう前にあなたに会いたい
世界がまっ平らになってしまう前にあなたに会いたい
私が何もかんがられなくなってしまわないうちに
何も見えない
あなたがどこにもいない




