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情愛装甲戦姫オモイビト〜大学生でも変身ヒロインできるんです!〜  作者: 梅谷涼夜
第1章 『ふたりは大学生で変身ヒロイン!!』
17/51

第17話 開戦! 想い、燃やすわ! その1 〜友美〜

 大学からの帰り道、電車を乗り継ぎ、調子が良ければ一時間半、乗り継ぎが悪ければ二時間。登下校にすら労力を使うが、一年通ってもう慣れた。


 慣れた、と言っても不満が無くなる訳ではない。


「めんどくさ」


 こうして独り言でも呟いて、発散しないとパンクする。


 乗換駅に着き、最後の路線に乗り換える。だいたいいつも、この電車でようやく席に座ることができるけど、五分も経たないで私の最寄り駅に着いてしまう。でも、そのたった五分の癒しために、私は毎回座る。今日も例に漏れずに。


 スマホを視界に入れながら、今日の出来事を振り返る。


 デートかあ。


 思い出したのは、直緒のデートの話題。話を聞いてたときは、アレをデートと呼んでいいものかと思ってたけど、思い返せばアレも立派なデートなんだろう。

 恋人同士が仲良く出かけ、お互い楽しんで帰ってくる。多分、それがデートの本質なんだ。この歳になると、どこに行った、何をした、そんなことばっかりに気がいってしまう。


 でも、私が好きなヒロインは、そんなの気にしてなかったな。それこそ直緒みたいに、恋人と一緒なら何しても楽しい、なんて言ってるしね。


 ただ、直緒は現実で、しかも本気でそう言ってるから、そこにつけ込まれていつか危ない目に遭いそうで、ちょこっとだけ心配している。

 直緒は何もされてないなんて言ってるけど、絶対なにかされてそう。……。ダメだ、その発想に至ってしまうほど、私の心は汚れきってしまっている。


 しかし、そういうデートを最後にしたのはいつだったか。それに、最後に直緒みたいな、純粋な気持ちで恋をしたのはいつだろう。今すぐにはちょっと思い出せそうもない。


 私がこの力に目覚めてから、他人を守れるだけの強さを求め続けてきた。そして、私の力の本質に気づいたときから、力を得るために適当に良さそうな男を引っ掛けて、速攻で別れる、ということを繰り返している。

 そのためなら、自分のプロポーションだって武器にしてる。強調すべき所を強調しアピールする。メイクや髪型だって、男が好きな方へと寄せている。使える物はなんでも使う。力のためなら、そういう努力を惜しまかった。


 ただ、その手段として肉体関係を持つということはしなかった。別にヤッたところで、相手への恋愛感情が増すわけではないだろう。好きと思えるかどうか、それが大事なんだから。


 好きな男を取っ替え引っ替えする。それが、力を手に入れるにあたって、一番効率が良かった。その方法が他人を守る強さ、それを得ることに繋がる。


 もっぱら最近は無駄に増やしすぎた力を整理するため、恋愛自体控えてはいるけど。お金もかかるし。


 いつから他人を守れるだけの強さを、求め始めたかは覚えていない。というより、思い出せない。多分、色々し過ぎたせいで、忘れてしまったのだろう。でも、そこは気にしていない。


 大事なのは、他人を守るという使命を自覚していること。そして、憎念に襲われている人々や仲間を、全て守りきれるだけの強い自分であること。これを成し遂げられればそれでいい。


 陰で尻軽女だの、ビッチだの、クソアマだの呼ばれているが、別に構わない。実際、そうなのだから。なにも知らぬ奴らには、好きに呼ばせておけばいい。

 この方法で強くなると決めたときから、そう言われるのは承知の上。自分の名誉を犠牲にしようが構わない。だって、他人からどう思われようが、自分が本当のことを理解していればそれでいい。


 結局のところ、私が直緒のようなデートをできてないのは、私の自業自得であり、それを羨むのは間違っているってわけだ。別に考えを改めることもしない。直緒は直緒、私は私、それでいい。


 電車が最寄り駅に着き、ようやく長旅が終わる。ホームに降り立ち、凝った体をほぐすために伸びをする。


 そのとき、心の中に黒いモヤモヤというか、ざわめきを感じる。憎念が出現したのだ。ただ、ここはもう直緒の感知範囲外。つまり一人でやるしかない。

 と言っても、なにも困ることはない。今までもそうだったし、これくらい一人でできなきゃ誰も守ることができない。


「やってやろうじゃない」


 気合いを入れ、改札から出る。そして、大急ぎで憎念の発生場所へ向かった。


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