第13話 ドッキドキ! 花見デート その4 〜優斗〜
確かにさっき、ありのままが良いなんて言ってしまったけど、まさか寝るとは思ってなかった。起きるかと思ったが全然起きないし、膝枕に体制変えたときも起きる気配すらなかった。
起こされると機嫌悪くするタイプだったら、無理に起こすと面倒くさい。とりあえず、自然に起きるのを待とう。
やる事もないから、ずーっとスマホをいじってると、鏡部からラインが来る。
『デートはどう? 順調?』
『寄りかかられて寝られたから、それに付き合ってる。』
『すっかり心を許してる証拠じゃない。』
『勘弁してほしい。』
『可愛そう。』
『コイツに付き合って歩いて、それっぽいこと言って、昼食べ終わったら、いつの間にかに寝てやがる。』
『あなたは本心? それとも演技?』
『演技。付き合ってるのは監視のためだからな。』
『本当に可哀想。』
『敵に情けか?』
『一般論よ。それに、よくバレないわね。だって、付き合ってそこそこ経つのに全部演技なんでしょ? どっかしらにボロくらい出ると思うけど。』
『恋は盲目。冷静な判断力を曇らせる。』
『一理あるようで無いわね。』
『まあ、本人は俺といるだけで幸せらしいから、アイツに合わせて、表向き一途に付き合えば問題ない。』
『私、あなたのそういう、恋愛を踏みにじるとこ、好きじゃないわ。』
『目的のためだしな。まあ、お前に好かれようと思ってもない。それに、嫌われるのは大歓迎だ。』
『倒しちゃわないの?』
『コイツらはまだ使える。今のところは、な。それに、俺の敵ではない。』
『すごい自信ね。』
『事実だからな。はっきり言えば、お前の相手にすらならん。』
『あっそ。それを言われたからって、あなたへの好感度が上がるなんてことは、決してないから。まあ、お互い割り切って仲良くやりましょうね。新人君も入ることだし。』
『ああ、そうだな。』
『じゃあね、血も涙もないヘイトさん。』
『こちらこそ、愛を重んじるミラー殿。』
そんなこんなで、鏡部とのやり取りが終わる。にしても、まだ起きないのか。
その上、電話まで鳴り出す。でも、起きない。いくらなんでも、ぐっすり寝すぎだろ。しかし、誰からだ?
画面には「お母さん」と表示されている。どうやら、家族からの連絡らしい。
どうすんだこれ。起こすか? それとも寝かせとくか?
ちょっと悩んだが、悩むのも馬鹿らしくなってきたので、結局起きるまで放っておくことにする。




