コンセプト1「小人から巨人まで使えるゲームコイン」7
「……これ、何個目だっけ?」
「50から先は……ちょっと覚えていないかな……。」
うずたかく積まれた試作品の数々。
あるいは正しくゴミ、ガラクタ、産業廃棄物。
3桁に届きそうなほどの試作品を作っては見たものの、私たちの要求を満たす試作品は結局出来上がらなかった。
正直、試作品1号はまだましな方の部類だったと今なら言える。
試作9号。「圧縮タオル圧縮機」。
論外。圧縮するたびにボードが浸水する。
そもそも専用圧縮機という発想がユニバーサルデザインからかけ離れている。
水を使用する路線はこの試作品をもって終了。
また、コインを縮小拡大する装置を外部に設置するという考えも「非ユニバーサルデザイン的」であるとして終了した。
試作品13号。「ル〇バ」。
コインをプレイヤーに管理させるのではなく、コインが自ら意志をもって動くことで輸送というコストをコインに支払わせるもの。
考え方は画期的だったが、ゲーム進行に10倍近い時間がかかった。
そもそも自身が能動的に動かさなければ電子マネーと大して変わらないという指摘もあり不採用に。
この試作品の失敗をもって、やはりコイン自体を伸縮させるしか手が無いと判断した。
試作23号。「ゼンマイ仕掛け」。
ゼンマイの弾性力を利用し拡大縮小するコイン。外側は伸縮の効く布で覆う。
しかしゼンマイ機構がコインの上部に突き出してしまい重ねることができなかった。
枚数計算においてコインをまとめやすいことは必須である。
以降の試作品はそれを意識するようになった。
また、ゼンマイの弾性力が低すぎてコインがうまく展開しない。
思った以上に拡大縮小の率が低いなどなどもろもろの理由から没。
試作37号。「カカオシガレット」。
紙幣を縦に半分に折り畳み、くるくると巻くことで圧縮を実現。
圧縮までの手間が多すぎる。ロック機構が大掛かりかつ破損率が高い。
伸縮に必要な手間はワンアクションが望ましい。
それを改めて実感した作品となった。
試作59号。「オクトパス」。
折り畳み傘の骨を横向きに折れるようにしたもの。
ワンアクションで展開する機構の極致として採用。
しかし変形機構が複雑かつ微細で実用に耐えなかった。
安全性を保てても複雑な変形機構はやはり難しい。
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「頭おっもい……。中身取り出して洗浄したい……。」
「分かる。中身ないけどすごく分かる。」
寝食を惜しんでデザインを繰り返すことおよそ100時間。
オーバーヒートを来してバグった頭が作りだしたスフレパンケーキにたっぷりとチョコレートソースをかけてほおばる。
糖分を急速大量投与することで、いくらか頭の重さは改善した。
しかし焼け石に水。今の私達には1にも2にも休息が必要だ。
「すぴー……すぴー……。」
ふと横を見るとユニがソファーに埋まりこむように撃沈していた。
正直うらやましい。あれはさぞかし至福だろう。
私もちょっとベッドにもぐりこんで頭を休めたい……。
ベッドに向かうべく、ふらふらと立ち上がったところで足をとられてずっこけた。
不機嫌な表情を作る気力すらなくて無表情で足元を見る。
……バスタオルか。
4日間にわたり、家事も何もかも放り投げてデザインをしていた部屋。
部屋の各所には皿やら洗濯物やらゴミやらが散乱している。
「洗濯物だけ片付けとこう……。」
洗面所に行き、洗濯籠を引っ張りだす。
それをリビングまで運び込んで散らばっている衣類を片っ端から放り込み始めた。
…………。
………。
……。
…。
「……なんだ、意外と近くにあるじゃん。」
手に持ったそれを呆けたように眺める。
緊張の糸が途切れたせいか、私の意識はそこでぶっつりと途絶えた。
画像を投稿してもいいって!?(歓喜)
何枚でもいいんだよな!?(本気)
よかろうならば戦争だ!!(狂気)
挿絵を挿絵としてしか使わないってもったいないでしょう?




