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皇子と初面会を果たすワ…!


結局、あの後皇子には会えなかったワ。

グレイスに気を使ったとかではないわよ。あれは私の獲物。誰にも渡さないワ。


じゃあ会えなかった理由はというと、簡単な話よ。

初めて見る、生の皇子に私が鼻血を出したため。

影からこっそり盗み見た、イケメンの光り輝く金髪にもうノックアウトされたの。私のせっかくのドレスは血まみれ。

いくらなんでも、撤退せざるを得なかったワ。


その後、血まみれの私を見た使用人たちは大慌てで、私をベッドに押し込んだワ。

あの後、面会は体調不良でお断りになっちゃったし。

寝心地最悪の高級布団の中で、あの二人がくっついちゃったらどうしようって思ってたけど、しばらく様子見した結果、大丈夫そうって結論に至ったワ。


そもそも、よくよく考えれば、子供の頃の恋なんてノーカンよね。

初恋は実らないっていうし、よしんば仮に皇子がグレイスに惚れちゃったとして、多分くっつかないでしょ。ゲームでも一切描写がないし。


これで、グレイスが皇子にメロメロならともかく、幸いにも恋煩いとかをしている様子でもない。

惚れたってところまではいってないと私の恋愛センサーが言ってるワ。

長年培ってきた、私のセンサーはかなりの精度なのよ。


最近、きちんとお化粧をするようになったグレイスと話したそうな男の人も増えたし、コック見習いなんか隙を見てグレイスとお話ししてるワ。

しかも、グレイス本人もまんざらじゃなさそうだしね。

新しい恋は近いわね。

ちゃんと、グレイスにはハーレムのメンバー以外で良い人を見つくろってあげるけどね。



そういうわけで、皇子に会えなかった私。

しばらくの間、不貞腐れてたけど、お父様に可愛くおねだりしてみせたら、王城に連れて行ってくれることになった。

ほんと甘いわね、お父様。

少しの間だけだけど国王陛下とも会えるみたい。

ここでうまくいけば、学園に入る前に幼馴染になれるのよね。

私は、自分に喝を入れて、当日まで貞淑に見える令嬢修行に励んだ。







当日、王城の庭にて私はガチガチに緊張していた。内装や庭園、何をみても気がそぞろで落ち着かない。

前回、声は聞いたけれど、顔は一瞬しか見ていないから尚更ドキドキが募る。

皇子が来るまでの間、庭園を観て回ることにした私は、何度も自分に言い聞かせた。


いい?挨拶が肝心よ。

まずは、あら御機嫌よう、ね。

あくまで優雅に、艶やかに。令嬢らしさを忘れず、けれどセクシーにね。


…とはいえ、いくら攻略対象と言えど、相手はガキンチョ。私の百戦錬磨の凄技でメロメロにしてやるだけだワ。

そう考えると緊張が収まり、自然に笑みが溢れた。

そうよね、何をビビっているのか、私らしくないワ。私は凄いオカマなんだから。何も心配いらないワ。



そう考えていると、足元に誰かの影が落ちた。

…来たわね。

私は意を決して、視線をあげ、優雅な挨拶を繰り出すことにした。

行くわよ…!あら、御機嫌よう…





「あっらああああ⤴︎」






盛大に声が裏返っちゃったワ。

でも、え、やだ、何これイケメン。

どっからどう見てもイケメンよ、あぁ、もう大好き。

なんでこんな頃から完成してるわけ、嘘でしょ。


だってこの髪、天使の輪っかがあるわよ。何このキューティクル。しかも髪サラッサラじゃないのよ。

降り注ぐ日差しを受け、金色の光をキラキラと返す髪の毛は癖のないストレートで、彼の、真っ直ぐな強さを感じるワ。


控えめに言ってイケる。

ゴクリと飲んだ生唾に皇子は後ずさりをしかけ、でも失礼だと思ったのかそのまま止まって、私に綺麗な敬礼をした。


ええ、ええ。私もお辞儀を返す場面よね。そうよね。

ドレスを摘み、足を一歩引いてお辞儀するのが貴族の子女のお辞儀。


でもね。一歩下がる?知らないワ。どうしてこんなイケメンと距離をとらなきゃいけないのよ。

私は、むしろ一歩足を踏み出してお辞儀もそこそこに彼の両手を掴んだ。


やだもう、なんて小さい手なの。

白くて、細くて、少しシットリとしてる。

手を引きかけた彼の手をそっと指で押さえ、そのまま手に触れ続ける。

彼のヒクリと一瞬引きつった唇もそのまま食べちゃいたい。

なんなら頭からバリバリ食べれるくらいには可愛いワ。



ぁんもぅ、好き♡




愛を込めて、彼の可愛いおててをニギニギしていたら、国王陛下が話しかけてきた。

あら、いらっしゃったのね。

未来のお義父様には、気に入られなきゃだワ。

名残惜しいけれど、ルシウス殿下の手をもう一撫でしてから、離して散々練習したお辞儀をした。

お作法はバッチリよ。






「さて、アンジェラ。うちの息子は気に入ってくれたかね?」






もちろん。

即答レベルの質問だったけれど、殿下に会えた感動で潤む瞳に国王陛下は気を良くしたようだワ。

美人って得ね。

そのまま、陛下はお父様と、次に私と皇子が会う日程を話し合い始めた。





ああ、良かったワ、気に入られたみたい。





チラリと皇子を見ると、目があった。

私は脅かさないように、にっこりと微笑む。

彼ったら私に気があるのね。

でも、陛下がお話中よ。今はダーメ。

意図が伝わったのか、彼は慌てて視線を前に戻した。




…それにしても、彼ったら顔が青白すぎるワ。ちゃんと食べてるのかしら?

今度はクッキーでも差し入れなきゃね。





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