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死に損ないは笑う  作者: 真咲 タキ
第1章オハヨウ
3/28

異世界へ

  気がつくとジンは草原に立っていた。

  服装はたくさんポケットのついた上着を羽織り、下にはジーンズに似た、しかしそれより丈夫なズボンを履いていた。

  どうやら革製品がこの世界にもあるらしく、靴は獣の皮を加工したブーツになっていた。


「そういえば、あいつが調整はしてあるとか言ってたな。でもこの後、俺はどうしたらいいんだ」

  周りを見渡し、今の場所がどこなのか、どちらに向かって歩けばいいのか考えた。


「「お前はそこがどこで何をすれば良いか知っているはずだ」」


  頭に言葉が浮かんできた。

  あいつまた何かやったなと思いながら記憶を探ると、確かに知らないことが映像のように頭に浮かんだ。


(血が飛び散り、怒号が聞こえる。

「何やってやがるクソ新兵が。

 死にたくなかったら立ちやがれ」

「やめて、殺さないで」

「貴方は誰ですか?」

 泣いている自分の姿

 怒っている自分の姿が見える

 鉄臭い)


  ジンは多量の情報に飲まれそうになった。

  頭が痛い、割れそうだ。

  ジンは意識して情報の一部に鍵をかけようとした。

  脳内の記憶を過去、現在、未来に分けた。

  過去は200年分、未来は20年分になった。

  自分のアクセスできる記憶を一度に1年までとし、それぞれの記憶を1年ごとにパッケージにした。


  そして過去一年の記憶と今後1年の狭間である現在に意識を戻すと先ほどまでの頭痛がなくなっていた。


「よし、なんとなくやったら上手くいった。これもあいつの調整の結果なのだろうか?それとも自分がよく聞こえなかったところだろうか」


  ジンは不思議に思いつつ、この記憶を利用することにした。

「よく見るとこの記憶、過去のものは俺のじゃないな。なるほど過去のものは映像記録って感じか」


 ジンは過去の記録から現在の場所を特定した。

「カリフ草原か、ボランがここから近いな」

  ボランはカリフ草原があるキャス王国の首都である。

  ジンが未来の記憶を確認すると確かにジンはボランに向かっているようだった。

 ……


 


 歩きはじめたジンは空腹感を覚え、何かこの辺りで採れる食物がないか記憶にアクセスして調べた。


(ヤムトカゲ)

 ヤムの木を縄張りにする。通常一つの木にオスが一匹、メスが五匹いる。食べられる。


(ゴブリン)

 オークに従い行動する。行動範囲が広く、どこにでもいる。肉は硬い。


(ゴブリンナイト)

 オークに従い行動する。行動範囲は狭い。ゴブリンの上位種。剣の扱いに優れ、カラダに鎧を纏っている。


(ゴブリンウィッチ)

 オークに従い行動する。行動範囲は狭い。ゴブリンの上位種。魔法を使って攻撃する。遠距離攻撃が基本的なためめったに姿を見ることはない。


(オーク)

 醜い顔をしている。言語らしきものを話し、ゴブリンを操る。顔は家畜の豚とにており、味は豚より濃厚で美味。


(ヤムの実)

 若い実は辛味があり、スパイスとして使われている。実が熟すと赤色に変わり果肉は甘味を持つ。


(クレナイ草)

 獣の死体から養分を吸い、死体に集まるハエを媒体に受粉する。種はキラーアントに運んでもらう。花は苦いが、クスコ病を治す。


(キラーアント)

 どこにでもいるが住む場所により生態がことなる。5年に一度スタンピードを起こす。味は酸っぱい。


  ジンはゴブリンを標的にすることにした。

 茂みを掻き分け、獣道がないか探すと、木が折れ、動物達が通ったものと思われる痕跡を見つけた。

  この先にゴブリンがいる。

  ジンは確信した。


  ゴブリンをかるためにはまず武器が必要だ。

  服のポケットを探ると金貨が10枚、銀貨が10枚、銅貨が10枚出てきた。

  あれ、武器がない。

  これではゴブリン退治などできるはずがない。

  何かないだろうか。

  ジンが周りを見渡すと大きめのいしが5個、折れた細い木が一本あるだけだった。





 


 

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