目覚め
ジンは死にそして出会う
まぶしっ、なんだこの光は。
何故か体中が温かく、雲のように軽い。
「お兄さん、お兄さん起きて!」
何だうるさいなこんなに気持ちがいいんだからもう少し寝かせてくれよ。
すると突然手に痛みが走った。
「っっなんだよ誰だよ俺を蹴るのは?
あれ?手を蹴る?」
手は瓦礫で潰れていたはずだ。
そこに手がついているはずがない。
ジンは今の状態の異常さに気がつくと、ベットから飛び退くように跳ね起きた。
目を下に向けると傷の無い綺麗な学生服と白い自分の手足が見えた。
手をニギニギすると確かな肉感と共に手のひらに赤みがさした。
そして、ようやく目の前に銀髪の女性がいることに気がついた。
この女性が先ほど自分を蹴ったのだろうか。
「あなたは誰ですか、ここはいったい?俺はいったいどっ」
言葉が途中で出なくなった。
それに目の前の女性の姿が消え、自分と同じ顔の男性が座っていた。
しばらくして男は喋り出した。
「俺は死んだんだよ。そして今は死の世界にいる。
お前は俺で俺はお前だ」
「お前にはやってもらいたいことがある。
なぁに難しいことじゃない。ただ今から送る世界で生きればいいんだ。俺にできたことだ。
お前にもできるはずだ。
体はそれでいいだろう?
調整はする。
安心しろ。
ではよ
ぁ....」
次第に声が聞こえなくなった。
どうやら自分は死んだらしいこと、
他の世界に旅立つらしいこと、
そしてそこで生き続けなければならないことがわかった。
正直よくわからない自称俺に文句の一つでも言ってやりたかったが、怒る気が起こらなかった。
というよりも、ジンは彼に感謝した。
まだ生きられることに感謝した。
そして何より地獄とも言える受験からの解放がジンにとっては嬉しかった。
「受験のバカやろー。さらば受験、そしてよろしく異世界!」
ジンは心の底から叫んだ。
この後送られる世界の悲惨さを知らずに、
この後我が身降りかかる苦難を知らずに。
基本的に私の作品は1日1話読むと面白いはずです!