強くなりたい
ソウが真実を確かめる。
「ノゾミさんとシンさんは何をしてたんですか?」
「きのこ拾った」
子猫のノゾミが小さなオレンジ色のきのこを爪の間に挟んでソウの顔に近づけた。狼のシンにも近づけると、シンは嫌がって歯を剥き出す。メリゴはハッとした。さっきと同じだ。噛みつく寸前に見えた光景はこれだったのだ。
「シンは鼻がいいから、食べられるかどうかチェックしてもらったの」
「ほほう、どうでした?」
「食べない方がいい。腐りかけだ」
子猫を食べるおぞましい狼を想像していたメリゴは拍子抜けした。ソウの集めた落ち葉で、彼らはきのこを焼いてパーティーでもするつもりなのだろう。それを危機的状況と勘違いしたのは恥ずかしい。狼は悪だと決めつけて攻撃するなんて勇者のすることではなかった。メリゴは赤くなってうつむいた。
「あの、知らなくて……乱入してしまいすみませんでした」
「大丈夫ならいい」
メリゴは頭を下げた。そして、素直にシンの強さを認めた。冷静な対応で急襲をものともせず、攻撃者をあっさり許してしまうくらい懐が深い。憧れてしまうほど感動した。
試験前に出会えたのはラッキーだ。強くなるための秘訣や心得を教えてもらえる絶好の機会になった。図々しく偶然に感謝して、メリゴは初対面のシンに熱意をぶつけた。
「僕、シンさんみたいに強くなりたいんです!どうしたら強くなれますか?」
つづく




