プロローグ:とある存在による独白
矛盾とはなにか。
それを深く考えたことのある人間はそんなにいないんじゃなかろうか。
それでも《矛盾》は存在している。
是非もなく、ただ存在している。
矛盾に限らずとも、いわゆる概念というのは往々にしてそういうものだ。
そう、概念。
この世界が概念で出来ているということを、これを読んでいるあなたは知っているだろうか?
時間の流れ、空間の拡がり、生命の育み、光と陰、次元、そして創造と破壊。
無論、今列挙したのは数多ある概念のほんの一握りでしかないが、つまりは今あなたを取り巻く全てが、《概念》であるということだ。
概念は当たり前のように在る。
故に人は、それの意味や理由を深く思慮しない。
『空気が在る』ということを意識せずに呼吸をしているように。
それを罪深いとは言わない。
当たり前に在るものを疑わないのは、人間として当たり前のことなのだから。
で、あるから。
これ読んでいるあなた。
そう、あなただ。
あなたには是非とも考えてほしい。
当たり前に在るものを疑ってほしい。
人間としての当たり前から、逸脱してほしい。
まあ、私の退屈しのぎかもしれないが、あなたもそのくらいに考えてくれるとお互い気が楽ではなかろうか。
ラフにいこう、ラフにね。
当たり前に在るものを疑えなんて、そんなのどうすればいいか分からない?
うん、そうだとは思ってた。
私だっていきなりそんなことを言われたら困惑する。この私だって。
だからね、これから物語を語ろうと思う。
とある少年の物語を。
彼は普通の感覚を持った普通の人間だが、普通ではない部分が一つだけある。
概念に干渉できる。
その一点が普通じゃない。
そんな特性を持ってしまったが故に、彼は概念と向き合うという人生を送る羽目になるのだが、あなたはそれを面白可笑しく見ていればいい。
そして少しだけ考えてみてほしい。
彼の選択が、果たして正しかったのかどうかを。
それがきっとそのまま、『当たり前を疑う』ことになるはずだ。
さて、長くなって申し訳ない。
私の用件はそれだけだ。
また遠くない未来に、あなたに会えることを心より楽しみにしている。
それじゃあ、また。
蒼葉綴です。
このプロローグは第一章全話の投稿終了後に追加投稿したものです。
なので初めて拙策に目を通していただけている方に関しましては第一章第1話の後書きにて、過去の私からちゃんとした(?)初めましての挨拶がございますので、どうぞよろしくお願い致します。
いつもお読みいただけている皆様に関しましては、いつもありがとうございます。
これからもよろしくお願い致します。
2017.2.6 蒼葉綴