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04 . 真実を語るもの

何か本編が前置きみたいでじれったいですが、書いてるこっちもじれったいです。

もう少しの辛抱や。

私がクトゥルーくんと邂逅して約数分が経過。

さっきよりも日が傾いてきている。


「そういえば…確かクトゥルーって今は海底に眠ってて、星辰の位置が合わないと浮上できないんじゃなかったっけ?」


私はあくまでもクトゥルフ神話に関しては少し目を通した程度なので、お世辞にも詳しいとは言えないが、このことは自分でも知っていた。

クトゥルーは海底に沈んだ石造都市"ルルイエ"で眠っており、クトゥルーがルルイエと共に浮上する際は地殻変動が起こり、地上に甚大な影響を及ぼすと聞いたことがある。

なのに、当のクトゥルーが復活したというのに、まったく地上には何事も起こっていない。

一体どういうことなのだろうか。


ベンチに気だるそうに腰を下ろして寛いでいたクトゥルーに朝貴は正直な疑問をぶつける。


「…地上に浮上する時期に一部の人間に異変が起こることはあるが、それは夢によるテレパシー反応によるものだ。

といっても俺は常に夢を見ているわけではない、テレパシーが外界へ漏洩するのを制御することもできる。

だが、ルルイエと共に浮上せず、地上にも影響が及ばなかったのは…想定外だった。」


クトゥルーは嘆息を小さく吐いて、いかにも顔に"めんどうくさい"と書かれているような表情をした。

説明するのも面倒くさそうなのは寝起きだからだろう。

長き眠りから目を覚ましたばかりだろう。たぶん。


だが、クトゥルーはその後に続いて独り言のように言葉を紡いだ。


「……俺にこの復活は望んでいなかった。まだその時期が来ていないと思ったからだ。

だが、何者かの手によって俺は目覚めた。

誰の仕業かは分からない。他の者が俺の封印を解いたんだ。」


どこか遠い目をして語るクトゥルーに朝貴は目を見開いた。

ということは、まだ復活する間合いじゃなかったのに、誰かの仕業によってクトゥルーは目覚めた、ということだ。

予想外の事実に朝貴は内心たじろいていた。


だが、クトゥルーは先ほどとは異なり、今度は口角を上げて不敵な笑みを浮かばせた。


「だが、想定外だったとはいえ、人間どもに気づかれずに浮上することもできた。

これなら、"地球支配"の計画も難なく進む。」


朝貴はクトゥルーの口から発せられた言葉に耳を疑った。

ん? "地球支配"?ちきゅうしはい…

驚愕のその言葉に朝貴は顔を青ざめさせた。


「ち、地球支配って…!ど、どういうこと…?」

「その名の通りだ。地球人は自分たちの住む地が侵略されることを"支配"と言うだろう?」

「で、でも支配って…」

「…おい、何だその胡乱のような眼は。」


つい考えていたことを顔に出ていたらしい。睨まれた。

だって地球侵略とか地球支配とか言うと、未知の兵器とかつかわれて街や都市の破壊活動を行ったりするものだと思っていたが、実際は違うのだろうか。

映画や小説で見るように、あんな豪奢にはしないのか。

何よりフィクションの方では大群で襲来するが、目の前の地球支配を目論む本人は単独でここに来ている。


「無理じゃないかなぁ…」

「おい!なんだその哀れなものを見るかのような憐憫の眼は!」

「だってクトゥルーくんひとりでしょ?しかも色々と不都合なことが多く出てくるんじゃないかなぁ…」

「お前…俺を嘗めているな?俺がこんな人間の姿だから等閑しているのだな!」

「い、いや…別にそんなわけじゃ…」

「ふん、いつでもお前の前で本来の姿に戻れることなど容易いもの。何なら今ここでしてもいいのだぞ?」

「ああーっ!!クトゥルー様すごいなぁ!そんなこと出来るなんてクトゥルー様流石ですね!!」


思わず反射的に言ってしまった。

こんなところで本来の姿に戻ってもらっちゃ、私以外の人々にも被害が及ぶことになる。

SAN値がみるみるうちに激減して果てには狂い死ぬ、なんてことは流石に御免だ。


クトゥルーは偉大な野望を胸に秘めているらしいが、本当に上手くいくかは謎である。

尊大な態度でふんぞり返るクトゥルーは困惑の表情を浮かべていた。

【登場人物紹介】


クトゥルー (Cthulhu)

水の象徴であり、旧支配者の一柱。下っ端じゃないよ!

長らく海底に封印されていた邪神"クトゥルー"そのもの。

だが、最近何者の手によって封印が解かれてしまう。

尊大な性格で非常に態度がでかい。地球支配という偉大な野望を持っている。

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