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01 . 眠りから目覚めるもの

実はプロローグと一話が逆になってますがお気になさらず。

そこのところはご寛恕ください。

今日は、いつもと変わらない一日を送っていた。


近隣にある普通の公立校に通う至極普通の女子高生、"神田朝貴"。


他の人間よりも少し挙動不審なところを除けば、ごく普通の少女である。




今日もいつものように、授業を終え帰路についていた。


朝貴は部活無所属のため、放課後きまって何かをするということもない。


時々、彼女の嗜好でもある読書に耽るため図書室に行くこともある程だった。




だが、今日はいつも同じ一日とはならなかった。




いつも通る通学路に併設されている噴水公園。


勿論、噴水はいつも通りだった。


だが、噴水の前にはとある"男"が立っていた。


直立不動をしている"男"の目の前、噴水は一際変わった異様な光景に変貌していたのだ。





"男"が右手を翳している先には、噴水の水が異形とも呼べる形になっていたのだ。


説明し難い、形容しがたい形だ。


水は液体だ。だが、まるで固体と化したような、水柱はとても人間の手でできるような形でなかったのだ。




朝貴は困惑した。


その異様な光景に困惑するしかなかった。


何だが不思議な気分だった。


それは今まで一度も目にしたことのない風景で、それが視界に入っているだけで何とも言えない憔悴感を感じるのに、目を離すことができなかった。




足に何かが当たったような気がした。


下を見ると、一冊の本が落ちていた。焦茶色の分厚い本の表紙に金色の文字が夕陽の光に反射している。魔導書を思わせるつくりだった。


文字は英語圏かとも思った。


だが違う、これは英語などでない。それ以前に見たことのない文字であった。


自分が見たことがないだけで、どこかの国の文字だろうか。


だが文字の形は不気味で、とてもこの世界の中のどこかの国で使われてそうな文字ではない、と不思議と思った。




そして、コンクリートの地面の上には数枚の紙のようなものが落ちていた。


本にも何枚か紙が挟まれていた。


そして、その散らばった紙は噴水の前に立っている"男"の後ろまで続いていた。




ということは、これは彼のものなのだろうか。


そう朝貴が考えていると、ふと"男"は後ろの気配に気づいたのが、突然こちらを振り向いた。




"男"の顔立ちはとても整っていた。


顔のパーツ一つ一つが端正なつくりで、"眉目秀麗"とはこういうことを言うのだな、と想わせた。


背は高く、手足はすらりと長く伸びており、蒼い髪の毛に碧眼と外国人を思わせる容貌だった。


俗に言う"イケメン"というやつだろうか。




いや、まあ朝貴が言うならば"美青年"と言った方が的確だろう。




だが、"美青年"は朝貴の存在に気づいた途端、みるみるうちに不機嫌そうな表情に変わっていった。


その表情に朝貴は反射的に肩を揺らして、顔を青ざめた。





そして冒頭回帰。これが今までに至る経緯である。

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