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ヒト・ソト  作者: キョコ
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ホモ・オフェデリント

霊長目ヒト亜科ヒト属、通称『ホモ・サピエンス』


五体満足で生まれた地球上最も繁殖した生物の事を指す。


霊長目ヒト亜科ヒトソト属、通称『ホモ・ディホミブス』


頭部、腕部、脚部の何処かが人間とは違った生物の遺伝子が含まれ、容姿が五体不満足である地球上最も繁殖した生物の事を指す。


主に動物の遺伝子が混合したなどと言われているが、中には過去の人体実験の産物などという科学的論理や神が生み間違えた生物と神秘的に語る者も居る。


どのみち共通しているのが、この生物は『ホモ・サピエンス』とは完全に別物とされているのだ。


よってこの生物に人権は生まれない。


悲しいが、差別や区別などというものではなく、この生物は、『ホモ・サピエンス』以外の生物……文字で例えるなら『獣』という事になっているのだ。


なので、この生物は『ホモ・サピエンス』の住む居住区とは違ったゴミだまりの様な衛生環境も糞もない場所で生活している。


だが、知恵が無いわけではない。


身体の一部が別生物の遺伝子なだけで他は『ホモ・サピエンス』とまったく同じ作りである。


ゴミだまりの彼らの世界も国の様に地区で分けられている。


此処で紹介する生物の地区はC地区。


多数ある地区の中で最も治安が安全だと言われている。


そして、この地区同士同盟を組んでおり、法律をも作っている。


だが、法を破る者が現れるのも知恵を持った生物の性。


違法の生物には賞金がつけられ、違法の生物を処理する賞金稼ぎもいる。


此処にも3人で1つのチームとして賞金稼ぎをする者達が居た。


「おい、シロアリ。最近、違法見ねえけどよ。金、どうすんの」


ガラの悪い座り方でたき火に木切れをくべる男は、動きやすそうなジーパンに赤い半袖のYシャツ、そして頭部の顎先が鳥の様に鋭いヘルメットの様な形の機械。


本来は生物の遺伝子なのだが、時折機械化して生まれる場合もあるらしく、更に機械の『頭部違い』は珍しい。


「し、ししし知らないよ。君、ききき、君がギャンブルに、つ、つかかか、っつつつ使い込むからだろ」


呂律が回らずどもりながら身をなるべく折りたたみ、顔に近づけて漫画を読む男の姿は、ダボダボのズボンにチェックのTシャツと薄いパーカーを着、背中には荷物の詰まったリュックサック。


彼も『頭部違い』だ。


ただ頭が虫であり、蟻である。


「チッ」


軽く舌打ちをしながら、蟻頭の対象側に居る少女を機械頭は睨む。


真っ赤な髪の少女は袖のないワンピースを着ている。


なぜなら、引き摺らないと動けない程の長さの腕を持っており、その腕は骨しかない。


骨だけというのは過去に例が無いらしく、彼女は『骨腕』と呼ばれている『腕違い』だ。


少女は、黙って開きっぱなしの両目で燃えるたき火を見つめ続けていた。


「本当、どうにかしようぜ。ロクな飯も食えやしねぇ。また廃業水まみれの野菜生活か?ああ?」


「そ、そそそそそんなに怒鳴らないでよ。ほ、ほほほんほんん本当に君はい、いつついつもそうなんだから」


おもむろに蟻頭は、指の爪をカリカリとその大顎で噛み始めた。


「またてめぇその癖か!!ビビったらそれすんのやめろ!気もちわりィ」


「き、きききき君も貧乏ゆ、ゆすすす、ゆっす、揺すり止めてよ」


苛立ってきたのか肘をついている右脚がガタガタと揺れる。


「腹ァ減ってんだよ!くっそ、どっかに犯罪者居ねえかな」


その時、向こうの方で騒ぎがあったのか色んな声が入り混じって聞こえてきた。


その騒ぎを彼らはただの金の卵としか考えない。


すぐに走っていく。


騒ぎの場には、色んな生物が居た。


「おいおい、喧嘩、って訳じゃねえみてえだな」


人ごみを力付くで押し退ける機械頭の後ろには道が出来ており、そこをスイスイと2人は進む。


騒ぎの中心にまで辿りつくと、そこには金色に輝く長髪の少女と鰐頭の丸々と肥え太った男が居た。


「おいおい、あっちの鰐野郎、クソデケぇハンマー持ってんじゃねえか」


「そ、そそそそれそれれれより、あっちの少女を見てよ」


「ああ?ロリコンじゃねえんだよ。興味ねぇな――っと、おいおい。何で『人間様』がこっちに居るんだァ!?」





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