新たな生活と懐かしの人【3】
なにわともあれ、入学式は終わった。なんだかすごく長かった気がする。
「よし、今日は授業ないし帰るか。」
今日はバイトもないし、何だかすげー疲れたから早く帰りたい。
その矢先にさっきの騒がしい男、松山が来た。
「おーい海人ぉ、待ってくれよー。」
たくっ、またあいつか。まだ何か用なのか?ていうか、馴れ馴れ しい、しかも
もう呼び捨てかよ。
「何?俺もう帰るんだけど。」
とは言ってみるものの、その俺の言葉は意味を成さなかった。まぁ、これから同じ大学、同じ学科で学ぶんだから邪見にするのもかわいだし、聴いてやるか。
「あのさぁ、さっき同じところにいたやつに聞いたんだけど、あの新入生代表の娘、俺らと同じ学科らしいぜ。」
松山の言葉に俺は、驚いた。なんと、彼女も同じ学科だというのだ。高まる期待を圧し殺して、俺は答えた。
「ーーーーへ、へーそうなんだ。」
「なんだよ。そんだけか?もっと喜べよ。あんな美人が、俺らとおんなじ学科なんだぜ。俺なんてもう嬉しくて、テンション上がりまくりだぜ。」
そりゃ、俺だってすごい嬉しいさ。ただ、会っても久しぶり過ぎて何を話せばいいかわからないんだよな。
昔の同級生と会ったり見かけたりすると毎回思うが、変わったと思う。
当然久しぶりに会った彼女も、一言で言えば・・・綺麗になった。
「あーそ、よかったじゃん。そんな美人と同じところに入れて。」
嬉しい筈なのになぜか素っ気ない態度になってしまう。仕方ないと言えば仕方ない。
どういうわけか、松山は結花のことが気に入ってしまったみたいだ。
「なぁ、今から会いにいってみないか?」
「はあ!?」
突然のことにびっくりしてしまった。なに言い出すんだこいつは。意味がわからんし、それに俺がついてく必要なんてあるか?
「なんで俺がっ・・・・・」
やっぱ自分の意思は関係なかったようだ。引っ張られそのまま、ついていく羽目になった。
なんかこいつとは、長居付き合いになりそうだな。
「で、どこにいるんだよ?」
もっともの意見だと思う。
「確か代表に限らず、成績上位は学長室に集められて何か表彰と学費の免除とかあるみたいだぜ。」
さすが、成績優秀者だと思う。やっぱ待遇が違う。まぁついていくか。