新たな生活と懐かしの人【2】
代表は、どうやら女性らしい。どんな面だーとか思ったいたら、その女性が会場のみんなが座っている方に向いた。
「ん?あれって・・・・・」
俺には,その顔に見覚えがあった。遠目だが、わかる。それは
「ゆ・・・う・・か?・・・」
「結花!」
ヤバい大声で言ってしまった。しかも立って。視線が俺に集まって来る。
うー・・・マズイ非常にマズイ。恥ずかしくて死にそうだ。俺はとりあえず、座り直し顔を下に向けて時がたつのを待った。
・・・・・
・・・・・
「え、えー君。静かにしてくださいね。」
進行役の係の人が無音、無声が続く中で俺を注意した。
「はい、すみません・・・」
「では、新入生代表の林さん。お願いします。」
「はい。」
なんとか元の空気に戻ったかな。いや、戻ったということにしておこう。じゃないと、恥ずかし過ぎて耐えられないからだ。
しかし、驚いたな。小学生の頃に転校してしまって、若干本人か怪しかったがまた会えるなんて。
実は彼女、林結花は、俺の小学生の頃の同級生で、ーーー初恋の人なのだ。
何をやるにも優秀で、要領よくやれる彼女に対して憧れを抱いていた。
それが好きだという自分の気持ちに気づくのは、当時小学生の自分でも時間はかからなかった。
「はぁ・・・しまったなぁ。」
さすがに後悔した。頭の中が真っ白になっていくなかで、それだけ残った。
「ーーーーーい」
・・・・・・
「ーーーっい」
・・・・・・
「おい!」
俺の隣に座っている男か急に話しかけてきた。
「な、何?」
「お前、あの娘と知り合いなのか?もしかして付き合ったりしてる?いいなぁ、かわいいなぁ。何て名前なんだよーあの娘。」
誰なんだ。初対面なのにこの質問攻め。まぁ、いちおう答えとくか。
「知り合い。小学生の頃に一緒だっただけ。別に付き合ってないよ。」
とりあえずこれでいいだろう。全く知らないやつに深く教える必要なんてないからな。
だが男の質問は止まらない。しつこく名前を聞いてきた。
「なぁ、なぁ、名前は?なんていうんだ?教えてくれよ。」
あーもうしつこい!まず、お前が誰だ?他人に女の子の名前教えるほどバカじゃないぞ!
「知らねーよ。つーか、お前が誰だ?」
「俺?俺は、松山恭二。情報デザイン学科だぜ。そういうお前は?」
情報デザイン学科!?俺といっしょじゃないか。うわ~マジ厄介だな。
「神崎海人だけど」
にしても、結花とこんなところで一緒になるとは思わなかった。これで、平凡な俺の大学生活にもなにかいいことありそうだな。