入部届けと踏み出す勇気
ここではおれが、入部届けを出した空白の1日のことを語りたいと思う。
んー、こういうのを真剣に考えると余計なことまで、考えてしまって全然寝れなかった。
実際、1時間弱しか寝てない。眠い、実に眠い。
時間も迫っていることもあり、大学に行くことにした。
電車に乗り座っていると、早くも睡魔が襲ってきた。あいにく、今のおれでは勝ち目がないのは、明白。
おれは、流されるまま寝てしまった。
「・・・でーす。」
「次は~駅でーす。」
放送の声で、眠りから覚めたおれは、上の電光掲示板をみた。
!!
うわっヤバイ。寝過ごしちまった。
・・・・・
あー、完全に遅刻だよ。ついてないな。
次の駅で降りて、大学に向かったが1限目には、出れなかった。
2限目の、講義室で先に座っていると、松山が来た。
「よおー、おはよー親友。今朝は寝坊かぁ?一体夜な夜な何してたんだ?」
おれは、この質問に答えるべきなのか?
「それよりお前、昨日おれが帰ってからも残ってたんだろ?もう決めたのか?」
「おう!入部届け出したぜ。」
即答。
「へぇ、なんで?」
と聞くと松山は
「なんでってお前、部長もいい人だしさぁ、映画作りも面白そーだしな。」
ほう、こいつにしてはまともな答えだな。確かに映画制作は、おれも少し興味ある。
「それに、なんと言っても谷本先輩が美人だ!」
て、結局そこかよ。少しでも感心したおれの気持ちを返せアホ。
そーか、松山は入るのか。と言いつつもおれも入るとしたら、1番の理由はおれも、、、
「海人は、どーすんだ?」
「ん?う~ん、おれも多分入るよ、多分な。」
とりあえず、曖昧な返事にした。というのに、
「おー、サークルでもよろしくな。」
もうすでに、こいつの中でおれは、入部決定らしい。おそらく天然なんだよな。こいつは。
その後午前の講義は、順調に終わり昼休憩になった。
やっと昼飯だー、と心の中で叫ぶ。
「かーいとー、ここ空いてるぜ。」
「あ、おう!」
いつものように、学食を買った。
やっぱ、量もあってガッツリ食えるから、おれとしては助かる。
「そーいえばさ、」
??
「そーいえばさ、昨日は2人だけだったけど、他にもまだ何人かいるらしいんだ。」
ほー、まあそうだろうな。2人じゃさすがに、映画制作は難しいだろうからな。ドキュメントとかなら別だけどな。
「へー、そうなのか。」
「でさでさ、今年の映画ももうどんなの作るか決まってて、部員が確定したらキャスティングするらしいぜ。」
へぇ、早いんだな。しかも、こんなに早くも決まっててキャスティングもするなんて、本格的なんだな。さすが、大学だ。
じゃあ、ホントに今日までなんだな。期限は。
さーて、どーすっかなー。
昼食を食べ終え、早めに午後の講義の部屋に向かった。
1番後ろという、特等席を確保したおれらは、時間まで適当にひまつぶしすることにした。
「なぁ、海人。お前やるとしたらどんなのやりたい?」
また、唐突に。
「何をだよ。」
「映画の内容と役に決まってんだろ。ちなみにおれはよ、断然、主人公をやりたいね。」
アホか、こいつは。
「無理に決まってんだろ。そういうのは、先輩でイケメンがやるって相場は、きまってるじゃんよ。」
「なぬーーーーーーーっ!!?誰がブサイクだってぇーー?」
「いや、そこまでは言ってない。ようは、1年から主役はやらせてもらえないのが当たり前だろってことだ。」
どの部活とかでも、1年はまず、玉拾いとか雑用的なことからっていうのが、当たり前だもんな。
実際、1年でレギュラーに成れたスポーツ部の連中なんて、数えれるほどしかおれは知らない。
「くーーーっ、やっぱそうだよなー。期待ぜずに期待しとこ。」
はい、意味がわかりません。
とまぁ、こんな具合にくだらない会話をしていると
「おはよー、て、時間的にこんにちわだね。」
結花だった。
「ああ、おはよー。早いな。」
「海くんこそ。今朝どうしたの?遅刻なんて、海くん昔、遅刻したことなかったのに。」
はい、今日2度目の質問ターイム。
「寝不足で、電車乗ったら寝過ごしちまってさー。」
おれと彼女が会話していると、横から松山が
「林さーん、おはよー。いやー、今日もかわいいねー。」
また、どさくさに紛れて何を。
「あ、うん、おはよー。いつも元気だね、松山くん。」
そー言えば、結花も入るんだよな、映研サークル。
「海くん、決めた?」
「え?なにを?」
「サークルだよ、サークル。確か、明日が歓迎会だから部長さんが、今日までに決めてほしいって言ってたけど。」
そーなのか。うーん、、、楽しそうと言えば楽しそう。
「帰りまでには、決めとくよ。」
話を早く終わらせたかった。
「そっかぁ、わたしは、楽しみだよ。海くんとサークルで一緒に活動するの。」
!?
驚いた。まさか、こんな言葉が返ってくるなんて。
「それより、その後ろに居られるキレイな方は、誰ですか??」
松山がいきなり言い出した。おれも気になってはいたが、あえて言わなかった。
「この子?この子は、上園桜。(うえぞのさくら)入学式に友だちなったの。」
へー、茶髪に眼鏡。派手なのか地味なのか分からんな。
「あ、えっと、上園桜です。よろしく。」
「あ、よろしく。」
「よろしくーっす。おれ、松山恭二、18歳、血液型B型、趣味特技、、」
「はいはい、その辺で終わり。前にもそのくだり聴いたから。」
「おいっ、海人。言わせろよー、これくらい。」
すると、上園さんが口を開いた。
「てことは、この人が例の叫んだ人?ふ~ん、、、、、」
あれ?おれって結構有名人?てか、すげー恥ずかしい。そーだよな~あんなデカイ声で叫んだらバレるの当たり前だよな~。
照れて何も言えないおれ。
「でも、、、、、、」
「でも、良いと思うよ。ああいうの。なんか素直って感じがして、自分の心に正直で。」
あ、あはは、、、ナイスフォロー。
すると、
「また海人かよーーーっ!海人ーお前ばっかズルいぞー。」
知らん。んなことおれに言うな。
「あ、そろそろ授業始まるね。わたしたちも後ろに座ろーっと。」
はっ!結花がおれの隣に。
「はいー、では始めたいと思います。」
講義始まったのはいいが、、、やべー緊張する。普通に話すのは、大丈夫なのにすぐ隣という近い状態だと、心臓がドキドキしてくる。
いい、いかん。内容が頭に入って来ん。
よし、無だ。無になるんだ。虚無の境地へもってくんだ。
ーーーーーーーーーー10分経過
・・・・・・ ・
ーーーーーーーーーー30分経過
・・・・・・・
ーーーーーーーーーー50分経過
・・・・・・・
ーーーーーーーーーー70分経過
・・・・・・・
ーーーーーーーーーー90分経過
「はーい、終了。来週までに課題やって来てくださーい。」
「プシュー、終わったー。」
「お前、どーしたんだ?講義中ずっと呆けてだぞ。」
やっぱそう見えたか。
「い、いや、何でもない。」
「さ、さーて、今日の講義はこれでおわりだし、帰るか。」
「お、おう。」
明らかに動揺していたが、さっさと部屋を出て駅に向かった。
あそこまで、緊張するなんておれやっぱ、結い花のこと好きなんかな。でも、向こうはおれなんてなんとも思ってないだろうし。
あーーー、ダメだ。考えてもしょーがない。
「松山、先に行っててくれ。」
「あ、おい、どこ行くんだよ。電車もうすぐ来るぜ。」
この気持ち、確かめたい。向こうがどうとかどうでもいい。とりあえず一緒にいる時間が増えれば、何か分かるかもしれない。
おれは、部室棟を目指して走った。
「はぁ、はぁ。」
えっと、ここだよな。恐る恐るその場所に自信がないのか開けた。
そして、
「部長!はぁはぁ、」
「何だ?おお、昨日の。どーした?」
息を整えて、
「おれ、入ります。映研サークルに、入部させてください!」
明日は歓迎会かー。楽しみだな。これでおれも。




