第7話 きのこ
長々と続いた雨も終わり、暑くなる……かと思いきや。
「霧だな……」
「霧だねぇ……」
今度は濃い霧がもうもうと渦巻く状態になっていた。
雨が上がったことで、学校は再開され、今は放課後の帰り道だ。
「暑くないのはいいけど、じめじめはやだなぁ。きのこが生えてそうだよ」
ぴょこっ。
……なんだ? 今の音……。
おそるおそる手を頭の上に伸ばしてみる。
「ほんとに生えたな」
私の頭から、しっかりときのこが生えていた。
手で触ったあと、念のため鏡でも見てみたけど、頭から生えている物体は紛れもなくきのこだった。
遥架が、すっと手を伸ばしてくる。
そして――。
「痛たたたた!」
いきなりきのこを引っ張られた。
私の頭に激痛が走る。
「完全に根づいてるな、これ」
ううう、どうしてこんなことに……。
「学校があるのに、こんな姿になるなんて~……」
「ま、仕方ないだろ」
遥架はなにやら楽しそうだ。
まったく、他人事だと思って……。
「どうして私だけなのよ~!」
「日頃の行いってやつだな」
ぴょこっ。
…………。
「遥架の日頃の行いも悪いのね。メモメモ」
思わず笑いそうになる。
頭にきのこを生やした遥架は、明らかに不満顔だった。
「で、どうしてきのこ生えたか、だな。まぁ、霧が怪しいとは思うけど」
「他にないよねぇ……」
「みんなお揃い~♪」
結音ちゃんだ。相変わらずの神出鬼没ぶり。
もちろん頭にはきのこがぴょこっと生えている。
「魔法でどうにかしないの?」
「ん~、魔法干渉がかかってるから無理みたい~」
「干渉……ってことは、悪い魔法使いが怪しい儀式をしてるとか……?」
「ちょっと探ってみる~」
結音ちゃんは杖をかざすと、私たちを先導して歩き始めた。
「ここだぁ~!」
着いた場所は、工場らしき建物。どうやら、きのこ工場のようだ。
中からおじさんが出てくる。
私たちが霧のことについて尋ねると、素直に答えてくれた。
「ああ、すまない、霧が流れ出てしまって止まらなかったんだ」
研究用にきのこが生えやすくなる魔法の霧を使っていたのだそうだ。
「しょうがないなぁ~」
結音ちゃんは、ぱぱっと杖をひと振り、霧は一瞬にして晴れた。
魔法干渉とやらは、どうなったのだろう?
と、それよりも問題なのは……。
「ちょっと、きのこ、消えてないよ?」
「う~ん……。数日は残っちゃうみたい~」
あっさり言ってのける結音ちゃん。
『そんなぁ……』
私と遥架の声は、綺麗にハモるのだった。




