第6話 雨々……
雨はまだ、じとじと降り続いていた。
「梅雨とはいえ、鬱陶しいなぁ、もう~」
「晴れたら晴れたで、暑い~って言うくせに」
すかさず遥架からのツッコミが入る。
「ま、そうだけどね~」
じめじめは気分にまで反映されてしまうもの。
私には反論する気力すらない。
「でもさ、さすがに長すぎだよ。2週間以上降り続くなんて……」
などと話をしていた私たちだったのだけど。
それからさらに2週間が経った今……。
「だーっ! 1ヵ月も降り続くな~!!」
思わず叫びたくもなるというものだ。
梅雨のしとしと雨とはいえ、これだけ長く続いているせいで、道には歩けないくらいにまで水が溜まっていた。
そのおかげで学校が休みになっているのは、嬉しい部分だったりするのだけど。
「そんなにイラいらつくなよ」
毎日しっかりと遊びには来る遥架にそう言われる。
場所は私の部屋。
幼馴染みだから、お互いの部屋になんて何度も行き来している。
それにしても――。
「叫びたくもなるよ。雨ばっかりだと洗濯物もなかなか乾かないし……」
「ずっと家の中にいるんだし、大して困らないんじゃないか?」
「洗濯物が乾かないとね……無類の洗濯好きなお母さんが私に八つ当たりしてくるのよ!」
「そ、そうなのか……」
そうなのだ。
お洗濯ができないなんて、むき~! と叫んでぽかぽか殴られ続ける私の身にもなってもらいたいものだ。
軽く叩かれる程度だから、虐待とかそんなんじゃないけど。
ともあれ、それだけが原因というわけでもない。
やっぱりこれだけ雨が続くと、気分までもじめじめしてしまうのは避けられない。
「そんなときはぁ~」
と、ここで結音ちゃんが、いつもながら唐突に登場。
ここは私の部屋だけど、それは大した問題ではないのだろう。なんたって、魔法使いなんだから。
「なにかいい方法があるの?」
ワラにもすがる思いで問いかけてみる。
「そんなときはねぇ~、笑えばいいのよぉ~。気分が晴れると天気も晴れるよ~」
んなバカな……。
でも、結音ちゃんの言うことだし、もしかしたら……。
「あははははっ!」
笑ってみる。
「はははははっ!」
遥架も笑う。
「えへへぇ~♪」
結音ちゃんも笑う。
「にゃははははっ!」
猫のKまで笑ってるし……。
結音ちゃんの使い魔みたいなものだから、Kも一緒にこの部屋の中まで入ってきてたのね。
ともかく、そんな3人と1匹の笑い声が響き渡ると、窓の外はすぐに明るくなっていく。
「うあっ、ほんとに晴れた……」
「ね?」
嬉しそうに微笑む結音ちゃん。
……いつも思うけど、ここ最近いろいろと妙なことが起こってるけど、実は全部結音ちゃんの仕業ってことはないよね……?
真相は本人にしかわからない……。
もちろん、訊いても答えてなんてくれないのだけど。




