表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/14

第13話 夢冒険

「ところで、結音ちゃん。どんなのを作ってくれるの?」


 Kちゃんが運んでくれたケーキを食べつつ、私は尋ねてみた。

 今日、結音ちゃんの家にこうして伺わせてもらった理由は、手料理を食べさせてくれるって話だったからだと、ようやく思い出したのだ。


「えっとねぇ~、そのケーキだよぉ~!」

「えっ? これ、結音ちゃんが作ったの? 買ってきたんだと思ってた。すごいね~、とっても美味しいよ!」

「えへへ、ありがとう~」


 ほんと、見た目も味も最高級レベルかも。


「誰かさんは、料理とかまったく駄目だもんな」


 遥架の独り言は無視で。


「あれ? なんだか、眠くなってきた……」

「ん……俺もだ……」

「そろそろだねぇ~。それじゃあ、行ってらっしゃ~い♪」


 そんなのんびりとした声を聞いたのを最後に、私の意識は暗闇の中へと落ちていった。



 ☆☆☆☆☆



 気がつくと、周囲には壮大な景色が広がっていた。


「わ~……」

「ぼけっとするな!」

「グオオオオオオ!」


 目の前になにやら獣のような人のような大きな物体が迫ってきていた。

 とりあえず、両方合わせて獣人と呼んでおくことにしよう。


「美羽、動くなよ!」


 ズシャッ!

 遥架の剣が獣人を真っぷたつに切り裂く。


「遥架!」

「油断するな! まだまだ来るぞ!」


 迫りくる幾多の獣人と、それを次々と剣で切り裂き、私を守る遥架。

 はうっ……。遥架、カッコいい……。


「ぼさっとするんじゃない! 魔法を使え!」


 えっ?


「グオオオオッ!」


 目の前に獣人が迫る!


 とっさに手を突き出す私。

 手の先からは業火が放たれる。

 燃え尽きる獣人。


 うわ、私ってすごい!


「どうやらRPGの世界みたいだな」


 自分の魔法に酔いしれてる私の耳には、遥架の言葉はほとんど届かない。

 しばらく待ってくれた遥架と正気を取り戻した私は、村らしき明かりの見えるほうへと向かった。


 その後、私たちは幾多の危険を乗り越え、お姫様をさらった魔王も倒し、勇者と呼ばれるようにまでなった。

 なお、そのあたりの冒険譚は、長くなるので割愛しておきます。


 そして……気がつくと、私と遥架は結音ちゃんの家にいた。


「おかえりぃ~!」


 結音ちゃんが満面の笑みで出迎えてくれた。

 ああ、なんだか懐かしい……。

 それほど充実した冒険だったのだ。体感的に、何日もかけて壮大な冒険を終えたといった感じだった。


「つまり……夢だったってわけか」

「そうだよ~。魔法で一緒に眠った人と壮大な冒険を楽しめるケーキなの~。どうだったぁ~?」

「うん! すごく楽しかった! ありがとね、結音ちゃん!」


 私は素直にそう答える。

 実際には夢で、ほんの少しの時間だけだったのだとは思うけど、それでも充実感でいっぱいだったのだ。

 だけど――。


「喜んでもらえて、よかったぁ~。でも、ちょっと問題があって~……」

「えっ?」

「実はね~」


 どうやら私たちは、10日以上眠り続けていたらしい。

 ということは……。


「夏休みの最初の10日を寝て過ごしてしまったと……」


 ううう、いっぺんに気分が冷めてしまった。


「それじゃあ、次は30日バージョンの冒険に行ってみるぅ~?」

「行かない!」


 私と遥架の声は、当然のごとく綺麗に重なった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ