第12話 低気圧
「お邪魔しま~す」
今日は、結音ちゃんがなにか手料理を作って食べさせてくれるというので、遥架と2人でお邪魔することになった。
結音ちゃんの家はすぐ隣なのに、上がるのって初めてだなぁ……。
中に入ると、案の定というべきか、かなり変わった内装だった。
可愛らしいぬいぐるみ類はいいとして、水晶で出来たドクロの置物だとか死神の描かれた絵だとか、なにやら怪しげな物までもいろいろと飾られているようだ。
まぁ、そういった物はすっぱり無視して、私たちは素直に居間まで通される。
「ちょっとここで待っててねぇ~、準備するからぁ~」
そう言って結音ちゃんは部屋を出ていった。
遥架と2人、居間で待つ。
もちろん居間にも怪しげな物体がいくつも存在しているのだけど。当然そのあたりは無視する方向で。
「いらっしゃいにゃ!」
「あっ、Kちゃん!」
黒猫のKちゃんが、紅茶とケーキを持ってきてくれた。
どうやらお手伝いさんとして、こき使われているみたいね。
「とりあえず、テレビでも見るか」
遥架がリモコンに手を伸ばし、テレビのスイッチを入れる。
ああっ、この家の物を勝手にいじるなんて、なにが起こるかわかったもんじゃないよ!
なんて考えて焦っていた私だったのだけど……それは普通のテレビだったようだ。
「ではここで、へんき予報をお伝えします」
「あっ、このキャスターさん、今、言い間違えたよね。へんき予報だって~。天気予報なのに~」
なんかこういった間違いに気づくと、ちょっとだけ嬉しい気分になるよね。
だけど、すかさず否定の声が飛んでくる。
「ううん~、へんき予報で合ってるよぉ~」
声の主は、部屋に戻ってきた結音ちゃんだった。
「変気に関する予報だから~」
変気とは、変なことが起こりやすくなる磁場のようなものらしい。
気圧と同じように、高い所(高気圧)から低い所(低気圧)に流れる性質を持つ。
通常、気圧は刻々と変化していく。変気においてもそれは変わらないのだけど。
でも今は、私たちの住むこの町が変気の超低気圧状態となっていて、周囲からどんどんと変気が流れ込んできているのだという。
このところ変なことが多いのは、そのせいなのだとか。
通常ならこれだけ変気が流れ込んでくれば、低気圧状態から抜けるはずなのだけど、どういうわけかまったく変わらず変気の気圧が低いまま解消されていない。
原因も不明なため、今のところ有効な解決策もないらしい。
つまり……。
「これから先も、変なことが起こりまくるってわけだな」
遥架がげんなりした声を漏らす。
まぁ、それはもう、諦めるしかないってことなのかな……。
(微妙に続く)




