第10話 花火
ドーン! ドーン!
「やっぱり花火は綺麗ね~」
私の住む町では、この時期は毎年、河原での花火大会が大々的に催されることになっている。
「そうだな。かなり盛大だし。あまり大きくもない、こんな町のイベントなのに……」
「こんな町は余計よ!」
つまらないツッコミを入れる遥架に一喝。
まったく、興ざめさせないでほしいものだ。
それはともかくこの花火大会、遠くからわざわざ見に来る人も含め、かなりたくさんの人が集まってくる。
この町が一年で一番活気づく日、と言えるかもしれない。
「しかしまあ、綺麗ではあるけど、もっと意表をつく爆発の仕方でもいいのにな。ピカ○ュウ型とかなら、子供たちがさらに喜びそうだ」
また遥架が無茶なことを言い出す。
「そういうことなら~、私に任せてぇ~」
出たっ!
颯爽と現れた結音ちゃんは、杖を振りかざして、怪しげな呪文を唱え始める。
ぱぁぁぁぁぁ!
光が空一面を包み、そして――。
風を操ったのか、花火は様々な形へと変貌を遂げていく。
ピカ○ュウ型とかドラ○もん型とかサザ○さん型とか……。
確かに観客は大喜びしてるけど。
花火師さんたちはさすがに焦ってるんだろうな……。
「なんだこれは!?」
「予定してたのと全然違うぞ!」
やっぱり、混乱してるよ……。
と思ったら。
「まっ、いいか!」
「そうだな! 楽しいし!」
…………。
私の町の人たちは、変わったことが起こる現状にすでに慣れきってしまっているのかもしれない……。
ま、これはこれで楽しいからいいかな。
そんなふうに考えている私も、どうやらこの町に毒されたうちのひとりのようだ。




