転移と転生
某国のある日、15時頃。俺たちは、”仕事”がひと段落し、各々が昼休憩のために街を巡る。空には曇天が一面に広がり、賑わう商店街の表情を変えてしまっていた。
何となく入ったバーガー屋さんで飯を食べ、お会計を済ませて、また街に繰り出す。拠点への道のりを辿る途中、仲間が一人、また一人と増えていき、いつしか10人くらいの集団で道を歩く。
その中には、相棒のマイケルがいた。
「今度の仕事は明日の午前5時からだってよ。だから、午前2時までは飲めるな。」
「おいおい勘弁してくれよ。また酔い潰れたお前を起こすのは勘弁だぜ、今だって少しふらついてるじゃないか。」
「仕事終わりの酒はやめられないんだよ。それに俺は、飲んでる方が冴えてる気がしてよ。」
「常時飲んでるから、比較対象がないだけだ。」
相棒のマイケルは、いつも酒の話しかしない。俺は飲まない方だから、あいつのことは理解できない気がする。
この国は、治安と福祉はあまり良くないが、人々の愛想は良く、街はいつも賑わっている。そして、酒飲みが多い。
そんないつもの日常を繰り返す中、”事件”は起きた。
「バカにしてきたやつ全員、ぶち殺してやる」
あまり大きな声ではなかったが、薄っすら聴こえた頃にはもう、胸に弾丸が貫通していた。意識を失うのは一瞬だった。混乱している隙に、俺は人生を終えた。
目が覚めた時、そこには真っ白な空間に、2本の道が広がっているのを見た。”転生か転移”真ん中の看板にはそう書いてある。
転生は、人生ごとやり直す。転移は、生き返ってもう一度やり直す。その説明文を横目に、辺りを見渡すも、誰一人人間はいない。
看板を見た時、少し考え込む。(もう一回人生をやり直しても、このままでも、結局は同じだよな。もう一回”クズ親”と一緒に暮らすのはごめんだ。転移しよう。)そう思った俺は、”転移”と書かれた道に進んだ。
「前世で酷い行いをした人は案内できないんだ、ついでに少し、覗いてみようかな。」
遠目で見ていた”何か”は、薄らと笑みを浮かべた。




