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獣大陸物語  作者: 秒針
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第二話 アルヴ5歳

前回加筆してます。

「アルヴー。食事の時間よ」


「はーい」


母様の声が廊下を抜けて届いた。


食堂へ行くと父様と母様は既に食卓に着いており、ヴィクターが椅子を引いていたので急いで席に着く。今日は僕の好きな物ばかり。特に目を惹かれたのはヴィクターの奥さんシアが運んできた乾燥ベリーで飾られたケーキだった。


「「アルヴお誕生日おめでとう」」


「「アルヴテオス様お誕生日おめでとうございます」」


そう。今日は僕の5歳の誕生日。


父様からは一本のダガーを、

母様からはこの辺りに生えている植物が描かれた本を貰った。


春になったら街の外へ出てたくさんの事を経験しなさいとの事だった。ヴィクターとシアからも腰に付けるポーチを貰った。


「街の外へ出る事は許可するけど1人で森に入ってはだめですよこのあたりの魔獣は強くはありませんが危険ですから」


母様に釘を刺された。

もちろんそんなつもりは無いので返事をする。


「はい!母様」


食事をしていた父様が口を開いた。


「アルヴ、雪が浅くなったら体術の鍛錬をするぞ」


「本当ですか!父様!」


「あなた、アルヴには少し早く無い?」


「成人の儀まで後5年だし、それに遅かれ早かれ必ずやる事だ。早いに越した事はないだろう?」


「そうだけど、、、」


どうやら母様はあまり乗り気ではないようだ。


「母様!僕はすぐに父様よりも強くなって見せますよ!」


「フフッ、ではしっかりと鍛えて貰わないとね」


こうして春先から僕の鍛錬が始まることとなった。


ーーー


厳しい寒さが過ぎ去り、雪も浅くなってきた頃。体術の鍛錬が始まった。


最初は父様の動きを真似するだけで息が上がり雪で足を滑らせ立ち上がれなくなった。それをみて父様が体力強化の為、走り込みを追加した。日が登って走り込み、そこから型や組み手を昼食の前まで、それが父様との鍛錬の時間だった。日が経つごとに余裕が出てきた。が、そこからが辛かった。


「違う!そうじゃない!」


「はい!」


父様との鍛錬を始めて半年、連日ボロボロになっていた。

たった半日の鍛錬で。ほんの瞬きだけで気付けば体が宙を舞い地面に叩きつけられるのも毎日のこと。昼前には地面に何度も転がったせいで僕の白い毛は土まみれだ。昼になり、食事の前に汚れを落とす為、水浴びをする。

父様にはまだまだ敵わない、見えているはずの背中も見失いそうなほど遠く感じる。


「もっと頑張らないと、、、」


水浴びを終え、食事の最中もひたすらにどうすれば父様に土を付けられるかを考えていた。


昼食を食べ終え残りの半日何をするか考える。


「走ろう」


近頃、体力的に余裕が出てきたが終盤には息が上がり動きが鈍ると父様に指摘された。

少し走って体力をつけようと思い街の外へむかう。

鍛錬を始めた頃に比べて街はかなり賑やかになった。降り積もっていた雪もすっかり溶けて無くなり、冬は寝て過ごす種族の者達もすっかり活動を始めており、街は活気を取り戻していた。

「やっぱりこの季節が一番好きだな」


「アルヴさまー!」


皆が僕に気付いて声を掛け、手を振ってくれる。

中にはまだ冬毛のものもいて僕とお揃いの白い毛も混じるイタチ族やキツネ族。

今年の冬に生まれたばかりの子を連れているクマ族やウシ族の親子も見かけた。

尾が平たいネズミ族の大工達は冬の雪で屋根が壊れた家の修理をしている。大きな木材を運んでいるのは体が大きく毛と牙の長いゾウ族の者。そうしているうちに街の北門まで来ていた。


「アルヴテオス様どちらへ?」


牙の長いネコ族が話しかけて来た。

彼はトム。この街の守備隊の隊長だ。

周りにも3人の隊員が門を守っている。


「ひとりで走りに行こうと思って、暗くなる前には戻るよ」


「お一人で鍛錬ですか、お気をつけて」


「はーい」


ゾウ族の背丈の2倍はある石壁についた門を抜け、走り出す。


僕はこの街ギーリャが好きだ。フォーキン領の南にありこの領の中心となる街だ。


そんなことを考えながら走っていると、以前父様にダガーを使った鍛錬はしないのかと聞いた話を思い出した。


「我ら獣人は角や蹄、牙に爪といった十分武器になり得るものを持っている。最後に信用できるのは己の体ひとつだ。それに我らディアフロストの力は殺す為の力ではなく守る為の力なのだ。ただ、戦の世なれば全て変わる。そんな風にはさせんがな。」


父様は笑っていた。

戦の世?よくわからない。獣神様の頃の話なのか?帰ったらヴィクターにでも聞いてみよう。でも武器を使うとしたら?剣?ちょっと怖いな槍かな?いや、角に当たって邪魔かな。難しい。


「あれ?」


いつもの道から外れ森の入り口へ来てしまった。少し考えすぎたみたいだ。


「アァァァ!」


森の奥からの叫び声に小さな魔獣が一斉に茂みから飛び出して来た。

森が静寂に包まれアルヴは思わず声の方へ走り出した。

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