表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/42

第31話:封じられぬ最強

 黒い陣が霧散する。


瞬間、空気が爆発した。


ローディオの魔力が周囲を圧し潰し、

地面が沈む。


「やっと終わりかァァ……!!

 じゃあ行くぞ若ぇのォォォ!!」


ローディオの姿が消える。


クロウは剣を構えた。


「来い……!」


――しかしクロウは気付かなかった。


ローディオの気配すら読めないことに。


「《転移・裏拳》」


ドスッ。


クロウの腹に“何か”がめり込み、

空気ごと後方へ吹き飛ばされる。


大地を削りながら転がり、

血を吐きながら止まる。


「……ッ……ぐ……!」


その瞬間、カラスが動いた。


地面に指先で印を描き、ローディオへ向けて封印を展開。


――だが彼にとっては遅い、遅すぎた。


「《転移・フック》」


ズガァァァァァン!!


カラスの顔面が歪み、

身体が真横に吹っ飛ぶ。


封印術師とは思えない頑強さで立ち上がるが――

膝が震えている。


ローディオは笑う。


「二人まとめて相手してやるよォ……!

 来い八咫烏!

 ウルシアの最強を、今日はたっぷり味わわせてやる!!」


カラスとクロウ。

その二人ですら、震えていた。


「……バケモノが……」


二人同時に漏らした言葉は、

心からの本音だった。


ボロボロになりながらも、

カラスは静かに立ち上がる。


「クロウ……まだ立てますか。」


「……ああ……もちろんだ……」


二人が向かい合い、頷く。


「……やるぞ、カラス。」


「はい。“最後の手段”です。」


カラスの身体から黒い炎が溢れ出した。


「《禁術・封印――暗い喰らい(デバウア)》」


ローディオの右腕が、一瞬で黒い虚無に包まれた。


「……ん?」


ズルリ。


右腕が、肩から先ごと“消えた”。


ローディオは一瞬だけ目を見開き、それから豪快に笑った。


「はははは!!

 右腕封じか!

 お前ら本気だなァ!!」


しかし腕は戻らない。

転移も発動しない。


ローディオの最大の武器が完全に封じられた。


カラスは荒い息を吐きながら言う。


「右腕……あなたの利き腕。

 完璧に封じました。

 これ以上戦えば、あなたも――」


ローディオが笑いながら遮った。


「死ぬとでも?

 腕がなくとも戦えるのが“最強”なんだよ。」


カラスとクロウの背筋が凍り付く。


――この男、やはり最強だ。


クロウが息を整え、刀を構える。


「……もう少しだけ……!」


「クロウ、下がりなさい。」


カラスの声は低く、静かだった。


「これ以上戦えば、我々は死ぬ。」


「……だが……!」


「ローディオはまだ“余裕を残している”。

 ここで死ぬのは無意味です。

 撤退します。」


クロウは悔しそうに歯を食いしばりながらも頷いた。


カラスはローディオに深く一礼した。


「あなたを侮ったつもりはありません。

 だが想定を遥かに超える強さでした。」


ローディオは鼻で笑う。


「はッ。

 またやろうぜ。次は本気で相手してやる。」


カラスは薄く笑った。


「……その右腕、封印が解けるまで1年はかかるでしょう。

 解ける前に再戦したいものです。」


八咫烏の二人は、影のように消え去った。


ローディオは静かに空を見上げる。


「……さて。

 若い衆の戦い……どうなってるかねぇ。」


右腕は封じられたまま。

だが顔には焦りが一切ない。


むしろワクワクしている。


「この程度のハンデ……

 あいつらなら余裕で補ってくれるだろうよ。」


風が吹き、ローディオのマントを揺らした。


「ソー、カリナ、坊主……

 任せたぞ。」


――ウルシア最強の男は、静かに笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ