第四章6 今すぐ君にキスしにいきたい
司祭館の壁の前に立つセバンとリョンイン。
ペンキの缶を開けると、むっとする匂いが立ちのぼった。
白い壁に刻まれた罵倒の落書きは、赤や黒で乱暴に塗りつけられている。
セバンが刷毛を手に取って笑った。
「マリアが黄色い壁が良いとさ」
隣で黙々と塗り始めるリョンインの額には汗が光っている。
そんなとき、背後で小さな声がした。
「……あの、すみません」
振り返ると、晴れた昼の日差しに目を細めた若い女性が立っていた。
「どうしましたか?」とリョンインが訪ねると女性は堰を切ったようにしゃべりだした。
「わたし、ソジュンのファンなんです。デビュー前から応援していて。来るのは迷惑だと思ったんですけど、どうしても。…私もカトリックなんです。だから、あなたがもし…」
「その…なんていうか。わたし、どんなことがあっても絶対にわたしだけは彼の味方でいたいと思ってて」
しゃべる勢いと反して、たどたどしく出される彼女の言葉を静かに待つセバン達。
「あの、えっと、手伝わせてください。それ!」
「ありがとうございます」
圧倒され、よく分からないまま礼を言うリョンイン。
すると、セバンがまるで可笑しな事があったかのように大声で笑い出し、女性とリョンインは困ったように目を見合わせる。
笑いすぎて涙目になったセバンが目を拭って、言う。
「よし、終わったら、お礼に冷たいアイスティーとケーキをご馳走するよ」
熱い日差しの中、皆で壁にペンキを塗る。
「せっかくなら、お前と彼氏の愛の壁画でも描いて、観光名所にしようか」
「…勘弁してください」
時折、涼しい海風が届いて、揺れる花々の音が聞こえた。
部屋に飾っていた花がひとつ花弁を落としていたのを思い出す。
枯れてしまう前に押し花にして、ソジュンへの手紙に添えようと考える。
「You're all I need to get by」
深く息を吸い込み、顔を上げた。
日差しの中で大きな声で歌うと、すごく良い気分だ。
人に優しくしよう、たくさん愛そう。
誰かじゃなくて自分で許さなくちゃ駄目だったんだ。
「There's no, no looking back for us」
檸檬色の壁、海風、笑い声。
そこに確かに残っているものを、信じていこう。
ソジュンが好き。大好きなんだ。
言葉にすると、勇気が湧いてくる。
「We got love sure 'nough, that's enough」
今すぐ君にキスしにいきたい!
「You're all I need, You're all I need,
You're all I need to get by.」
終わりです。
https://music.apple.com/jp/song/youre-all-i-need-to-get-by-duet-version/1579980211
You're all I need to get by.
君だけが僕に必要なんだ
Like sweet morning dew, I took one look at you,
朝露の美しさのように、君を一目見ただけで、
And it was plain to see,
分かっていたんだ、
You were my destiny.
君が僕の運命だと。
With my arms open wide,
この両腕を広げて、
I threw away my pride
僕はプライドを捨てる。
I'll sacrifice for you
君のためなら、何を失っても構わない。
Dedicate my life to you
僕の人生を君に捧げる。
I will go where you lead
どこへでも、君の元に駆けつける。
Always there in time of need
いつでも、君が僕を必要な時に。
And when I lose my will
僕がどうしたらいいか分からないとき
You'll be there to push me up the hill
君は僕を丘の上へと連れて行ってくれる。
There's no, no looking back for us
もう後戻りはしない。
We got love sure 'nough, that's enough
この確かな愛さえあれば、それだけで十分だから。
You're all,
君はすべて
You're all I need to get by.
君は僕のすべてなんだ。
Like an eagle protects his nest, for you, I'll do my best,
鷲が巣を守るように、僕は君のため最善を尽くす。
Stand by you like a tree, dare anybody to try and move me
樹木のように君の傍らに立ち続ける、誰も僕を動かせはしない。
Darling in you I found Strength where I was torn down
自分の弱さを知った時、君の強さを知ったんだ。
Don't know what's in store, but together we can open any door
この先何があるかわからないけど、君と一緒ならどんな未来でもいい。
Just to do what's good for you and inspire you a little higher
君のためになりたい、もう少し上へと君を導きたい。
I know you can make a man out of a soul that didn't have a goal
道を見失っていた魂だった僕を、君は人にしてくれた。
Cause we, we got the right foundation and with love and determination
なぜなら、僕らにはより良い道を支える、愛と決意があるから。
You're all, you're all I want to strive for and do a little more
君がすべてだ、君のために少しずつ努力したい
All, all the joys under the sun wrapped up into one
太陽の下にあるすべての喜びが、ひとつに包まれている。
You're all I need, You're all I need,
僕には君が必要なんだ。
You're all I need to get by.
君は僕のすべてだ。




