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自律型地球観測衛星「ガイア-II」自動警報ログ

ログID: ALERT-ANOMALY-ATLANTIC_SECTOR_7-■■■■■■■■■

記録日時: 大沈黙後 ■■年

対象座標: サルガッソー海域、[編集済]


【自動ログ記録開始】


【15:20 JST】

サルガッソーの静寂を破り、一つの警告が灯る。海中深度七千メートル、光の届かぬ深淵で、微弱な熱源が観測された。その揺らぎは、地球自身の呼吸である地熱活動のそれとは明らかに異質だった。


【15:22 JST】

衛星の目が海面へと向けられる。高解像度スキャンが捉えたのは、第七人類時代の遺物、錆びついた海上構造物の骸だった。かつて石油を掘削したであろうプラットフォームは、大破し、今はただ波に揺られるだけの鉄屑と化している。生命の兆候はない。


【15:24 JST】

警報レベルが跳ね上がる。水中ソナーが、熱源と同じ深さから、無数の微小な音響信号を拾い上げた。それは既知のいかなる海洋生物の鳴き声とも似ていない。周期的で、統率が取れている。まるで、巨大な群れが一斉に目覚め、動き出す前の身じろぎのような、不気味な合唱だった。


【15:26 JST】

海底探査ドローンが現場に到達し、その映像が網膜を焼く。熱源の正体は、第七人類が遺した海底施設だった。深海の圧力に耐える分厚い壁、その一部である巨大なドッキングベイが、暗い口を開けている。


その闇の奥から、白く、滑らかな流線型の物体が、次々と吐き出されていく。自律的に、しかし一切の音を立てず、それらは海面を目指し上昇を始めた。


システムの解析が瞬時に結論を弾き出す。物体の形状は、第七人類の記録に残る深宇宙探査用の生命維持ポッド、その設計と九十八パーセント以上の一致を示していた。


【15:27 JST】

ドローンのカメラが捉える光景は、悪夢じみていた。千を超えるであろう白い棺が、静かに、ただ静かに、暗い海中から湧き上がってくる。巨大な卵が一斉に孵化し、光を目指すかのように。


【15:28 JST】

システムは、可能性のある結論を導き出す。仮説。第七人類が凍結保存した生命資源、受精卵、あるいは人間そのものが、何者かによって、あるいは予め設定された自動プロトコルによって、今、起動された。


それは、第七人類の再誕か。あるいは、帰還か。


システムから中央AIへ、一つの問いが発せられる。


[QUERY]

文明復興庁へ。これは、我々の計画ですか? 指示を求む。


このログは、優先度オメガとして、アークの中央AI「ウォッチャー」へ即時転送された。

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