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第七人類絶滅報告書  作者: ななめハンバーグカルパス
第二部 文明復興庁
41/83

第一次接触調査部隊(F.C.E.U.)標準支給装備一覧

 文書ID: 8C-RA-FCEU-EQUIP-MANUAL-004

 改訂日: 大沈黙後

 分類レベル: 部隊内限定 (UNIT-INTERNAL USE ONLY)


 序文:

 本リストに記載される装備は、F.C.E.U.隊員の生命と、我々第八人類文明の存続を守るために、特別に設計・開発されたものである。全ての装備は、物理的脅威からだけでなく、我々が対峙する最大の脅威――情報生物ハザード(IBH)――から隊員を保護することを、第一の目的とする。


 I. 基本装備 (Standard Field Gear)

 全環境型防護服「シェルター」

 第七人類の遺跡に残留する、あらゆる物理・化学・生物学的汚染物質から隊員を保護する、完全与圧式の防護服。気密性に加え、外部からの音響を大幅に減衰させる特殊な積層素材で作られている。


 多機能ヘルメット「サイレンサー」

 F.C.E.U.の装備の根幹をなす、最重要装備。


 HUDヘッドアップディスプレイ: 視界に、テキスト通信、生体データ、各種センサー情報を投影する。


 能動的音響遮断システム: 内蔵されたプロセッサが、外部の音響をリアルタイムで分析。「The Hum」や「パターン・ゼロ」に類似した危険な周波数パターンを検知した場合、逆位相の音波を発生させ、鼓膜に届く前にそれを完全に「無音化」する。これは、聴覚を媒介としたL-ウイルスの直接感染を防ぐための、最後の生命線である。


 II. 通信・情報処理装備 (Communication & Info-Processing Gear)

 手話・ジェスチャー認識グローブ

 標準化されたF.C.E.U.のハンドサインを、リアルタイムでテキストに変換し、部隊内のHUDに表示する。プロトコル・アルファ「沈黙の遵守」を徹底するための、主要なコミュニケーション手段。


 携帯型情報端末「タブレット」

 耐衝撃・耐EMP仕様の頑丈な情報端末。


 OS: 基底言語ベース・ラングと、単純な画像・数値データしか処理できない、極度に機能を制限された「基底OS(ベースOS)」を搭載。これにより、第七人類の遺した、汚染されている可能性のあるリッチテキストやプログラムを、端末自体が「理解」してしまうリスクを根本から排除している。


 出力: スピーカーは物理的に搭載されておらず、情報の伝達は、画面表示と、振動による触覚フィードバックのみで行われる。


 情報汚染検知器「カナリア」

 隊員の腰部に装着される、小型の環境スキャナー。炭鉱のカナリアに由来する。

 周囲の空間における、微弱な電磁波や音波を常に監視し、L-ウイルス特有のパターン(パターン・ゼロ等)を検出した場合、音を発することなく、ヘルメットのHUDに緊急警告を表示し、激しい振動で隊員に危険を知らせる。


 III. 調査・分析装備 (Investigation & Analysis Gear)

 非接触データ・サルベージャー

 第七人類の記憶媒体(HDD、SSD等)に対し、物理的に接続することなく、外部から特殊な磁場をかけて、断片的なデータを読み出す試みを行う装置。情報エアロックを介さない、危険な「生データ」との初回接触時に使用される。


 遺物封じ込めキット

 発見された遺物を、その場で封印するための特殊なキット。鉛とセラミックで裏打ちされた、音響・電磁波遮断機能を持つポリマー製の袋とケースからなる。IBHのレベルに応じて、使用するシールの色が変わる。


 IV. 生存・防衛装備 (Survival & Defense Gear)

 9mm消音拳銃

 遺跡内で遭遇する、野生化した第七人類のペットや、暴走したまま稼働し続けている小型の警備ドローン等から、身を守るための最終自衛手段。発砲音が、未知の危険を引き寄せる可能性があるため、サプレッサー(消音器)の装着が義務付けられている。


 精神衛生維持キット

 応急処置キットに加え、全ての隊員が携行。

 強い精神的苦痛や、IBHへの曝露による初期症状(幻聴、思考の混乱等)が発現した際に、緊急的に使用する、神経鎮静剤の自動注射器が一本含まれている。これは、仲間を救うため、あるいは、自らが汚染源となる前に、自らの思考を「沈黙」させるための、最後の選択肢である。

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