自律型地球観測衛星「ガイア-II」からの統合分析レポート
レポートID: GAIA-II-AUTO_REP-CYCLE-■■■
データ取得期間: 大沈黙 +■■■年
レポート生成日時: [ERROR: 地上クロックとの同期に失敗。最終同期日時:[大沈黙当日]]
1. レポート生成トリガー
地上管制局からの定時通信が、■■■日(地球公転周期■■■回)にわたり、連続して受信されなかったため、「ロスト・コンタクト」プロトコルを発動。惑星の現状に関するサマリーレポートを自動生成し、記録する。
2. 複合センサーによる全球分析サマリー
A) 可視光・高解像度画像分析:
インフラストラクチャ: 東京、ニューヨーク、ロンドン等の主要大都市圏において、戦争、天体衝突、大規模な自然災害による広範囲な破壊の痕跡は認められない。建造物、橋梁、道路網は、その構造をほぼ完全に維持している。
人類活動の痕跡: 人間が操作する輸送機器(自動車、船舶、航空機)の移動は、全球において一切観測されない。夜間側の画像解析では、人工的な光の発生は、ほぼ完全に停止していることが確認された。これは、メンテナンスの欠如による、世界規模での電力網の連鎖的崩壊と一致する。
地表の変化: 植生の侵食が著しい。都市部の道路や広場は、亀裂から生えた雑草や低木に覆われ始めている。
B) 赤外線・熱源分析:
産業活動、大量輸送、集合住宅といった、人間の文明活動に起因する大規模な熱源は、完全に消失している。
現在観測される主な熱源は、地熱活動、自然発生した山火事、そして、完全な冷温停止に失敗した、数十箇所の原子力関連施設から放出される崩壊熱のみである。
C) 大気成分分析:
二酸化炭素(CO2)、窒素酸化物(NOx)といった、主要な大気汚染物質の濃度が、継続的かつ大幅に減少し続けている。地球の大気は、産業革命以前の状態へと回帰する傾向を示している。
特記事項として、かつて全球で観測されていた、発生源不明の低周波音響シグナル(通称「The Hum」)は、現在、完全に検出不可能となっている。大気の音響レベルは、正常なベースラインに復帰した。
3. 結論
[分析完了]
[仮説]:クラスV(自己増殖型情報災害)による、全球規模の文明絶滅事象が発生。
[確率]:99.999%
[原因]:特定不能。
[現行指令]:惑星の観測を継続。追って指示を待つ。
[...]
[指示を待っています...]
[指示を待っています...]
(報告は、このエントリーを最後に、無限に同じ言葉を記録し続けている)