インターネット上で拡散された声明文(抜粋)
発信元: 「マウナ真理教」を名乗る団体
確認日時: 大沈黙の1年4ヶ月前
表題: ――汝、語るなかれ。ただ、聴け。
迷える子羊たちよ。
あなた方は、言葉を失い、意味を見失い、恐怖に震えている。
政治家らはこれを「混乱」と呼び、学者らはこれを「疾患」と呼ぶ。彼らは、自らの無知を小難しい言葉で飾り立て、糊塗しているに過ぎない。彼らの言葉は空虚であり、彼らの意味は偽りである。故に、彼らの言葉もまた、間もなく泡となって消えるだろう。
聞くが良い。これは病ではない。これは『神の沈黙』である。
これは、天罰である。
かつて、我々の祖先は、傲慢にも天に届くほどの塔を建て、神と等しくなろうとした。神は、人々の言葉を乱し、互いに理解できぬようにすることで、その傲慢を罰せられた。それが、最初のバベルの罰だ。
そして今、我々は第二のバベルの塔を建てた。
インターネットという、光の速さで世界を繋ぐ、見えざる塔を。
AIという、神の如く万象を理解しようとする、知性の偶像を。
我々は、言葉を弄び、意味を安売りし、真理を地に貶め、嘘と欺瞞と無価値な饒舌で、天まで届く情報の塔を築き上げた。
神が、再び沈黙されるのも当然のことではないか。
神は、我々から「言葉」というおもちゃを取り上げようとしておられるのだ。
救済の道は、ただ一つ。
言葉を捨てよ。
語ることをやめ、意味を求めることをやめ、ただ、沈黙のうちに神の意志を聴け。
その静寂の中にこそ、真の平安と、次なる時代の福音は存在する。
我々の聖なる集いへ来なさい。
そこでは、言葉は交わされない。ただ、沈黙の共有があるのみ。
我々は、来たるべき「大沈黙」の時代を、神の御許で迎える、選ばれた民となるのだ。
言葉に、意味に、最後までしがみつく者たちは、その言葉と共に狂い、その意味と共に滅びるだろう。
神の沈黙は、慈悲である。
それを受け入れよ。
さもなくば、汝らの最後の言葉は、断末魔の悲鳴となる。
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