「月夜のイモ畑」の巻
満月の夜、イモ畑に盗っ人がやって来た。
「あっ、あの野郎!」
と、ジャガイモが見咎めて叫んだ。
「こんな明るい月夜に堂々と」
と、サツマイモは驚いた。
「出荷前に、こんな身体で盗まれるのは嫌だわ」
と、サトイモが身をくねらせた。
「オレたちに任せろ! 追っ払ってやる!」
キクイモは怒って叫んだ。
イモ盗人に突進してゆくキクイモたち。
「おう。抜く手間が省けたぜ」
イモ盗人はそうつぶやくと、キクイモ軍団を次々とズダ袋に入れ、それで満足して帰って行った。
次の日の朝、キクイモ領には一枚の板が刺さっていた。
他のイモたちが立てた墓標であった。
「キクイモ軍団、ここより去る」
イモ畑では、いつまでもキクイモたちの行進が噂になっていた。
「ぼかぁ、いつまでもキクイモさんたちの後ろ姿を忘れないと思うなあ」
「芽も、イッちゃってたもんねえ」
「確かに、追っ払ったものねえ」
行く時は行く! キクイモなのであった。
(菊芋行く気)
きくいも、いくき!!
お読みくださった方、ありがとうございます?
ゴールデンウィーク最終日、いかがお過ごしでしょうか?
コチラ、買い物と散歩以外は外出もなく、創作? に勤しんでおります。
生活の変化と言えば、「魔人ビキラ」の第一部終了と、「召しませ!『蛮行の雨』転生したら場違い工芸品にされたって本当ですか?!」の新連載ですかな?
マイペースは大事。イケるのは平穏な証拠?