「迫り来る新年」の巻
「来年も、沢山の人々の夢を叶えねばならんのだろうなあ」
「まあそれが、我々の仕事ですからね」
「殆ど叶う事はないと言うのに」
「うんうん。そんなに神通力がないからのう」
「叶っても、それは本人の努力の賜物であって、我々のチカラではないと言うのに」
神社に暮らす神々が、年末に集まって宴会をしていた。
酒が入ると愚痴が増えるのは、人間も神も一緒だった。
「何が新年じゃい、ラチもない」
「新年ゴーホーム!」
「まあまあ、楽しみにしている人間も多いんですから」
「あんたは良いよ、宮司さんが常駐している神社なんだから」
小さな祠の神々は不満が多かった。
「なんだったら、ワシらんとこと交代してみるか? 六神社さんよお」
「それはそれは寂しい新年だぞっ!」
新年を憂い、グチる神社の神々の姿を見て、同情した万能の神ゼウスは一計を案じ、人々の心から「新年」という概念を取り去った。
時の流れに古いも新しいもない。
ただの概念なので、取り去るのは簡単だったのだ。
ただ、神社の神々だけが、取り残されていた。
(断念した新年だ)
だんねんしたしんねんだ!!
お読みくださった方、ありがとうございます。
新年は遠いですが、思いついたので投稿。
タイトルは「つまんねえ年末」という回文にしていたのですが、前にも使ったような気がしたので、辞めました。
回文はしかし、ちょくちょくダブって書いているような気もします。ただ、気にしていたら進まないので、居直って書いていますが。
今日の夕方5時前後には、「魔人ビキラ」を投稿予定です。
残り4話と言っていましたが、悪夢を見たので、「ビキラ外伝」を追加する事にしました。
もちろん、大した話ではありません!
ではまた明日。「ビキラ外伝」と「続・のほほん」で!