「サブロウタの予見」の巻
隠れキリシタンは、石仏や木仏のどこかに十字架を彫り、神に祈ったと言う。
秀吉は、ポルトガルから来たキリスト教徒たちが、日本人を奴隷として海外で売っている事実を知り、「伴天連追放令」を出し、布教を禁じた。
これ以上の日本人奴隷の流出を防ごうとしたのである。
文明人にとっては、当たり前の「奴隷貿易」であったのだろう。
そのポルトガル人の貿易と、日本人を守ろうとする秀吉との思惑とは関係なく、底辺の人々は十字架に祈った。
より良い未来を妄想して。
サブロウタは、そんな人々の為に、木仏を沢山彫った。
細長い木仏だった。刃も仕込んだ。
仕込み杖ならぬ、仕込み木仏である。
いざと言う時が来たら、武器として使ってもらう為であった。
だがしかし、ジェロニモこと天草四郎が、島原の乱でサブロウタの造った仕込み仏を使う事はなかった。
十字架が刻まれていたからである。
仕込み仏と言えど祈りの対象であり、武器ではなかったのだ。
「なんだよ。命より信仰の方が大切だって言うのかよ」
サブロウタは、がっくりと肩を落として呟いた。
「まあ良いさ。いずれ来る。信仰より命の方が大切な時代が。金で、罪汚がれが消せる時代が」
サブロウタは、1638年当時にして、すでに現在を看破していた。
(木仏武器)
きぶつぶき!!
お読みくださった方、ありがとうございます。
なんか、風刺的な内容で申し訳ありません?
まあ、そんな気分の時もあるよね。
明日も「続・のほほん」を投稿予定です。
時間は、お昼の12時前後になろうかと思います。
ではまた明日、続・のほほん、で。




