「悪伝と言う俗説に、映像・録音などの証拠はあるのか?!」の巻
筒井順慶は、洞ヶ峠に陣を取り、明智光秀と羽柴秀吉の戦いの様子を見ていた。
有名な「洞ヶ峠で日和見を決め込む」話である。
「そうではない」
と言う知識人のヤカラは多いが、なに、面白いのが正義なのである。
歴史は語る。
勝った方が正義。
お話的にも後世的にも、面白ければ良いのである。
順慶にとっては、秀吉が勝とうが、光秀が勝とうが、どちらでも良かった。
味方をすれば恩が売れる。
自分の保身のために、忠義ではなく打算で動くのは当然の話である。
筒井順慶は、今に至る世の理を、その身で示したのであった。
(うーーん、どちらが勝つんだろうなーー)
(腹も減ってきたし、早く決めてくれんかなーー)
順慶は思案の振りをして、ただ、見ていた。
「お館様、秀吉様に形勢が傾いて御座います」
との伝令の声に、
「おお、そうか! しかし光秀の『形勢不利の術』ではあるまいな。彼奴は中々のタヌキぞ」
「大丈夫に御座りまする。もう、風魔小太郎が助けに来ようが、真田十勇士が助けに来ようが、秀吉様の勝利は動きますまい!」
「うん。そうか! じゃ、秀吉のチビ猿に味方しよう」
光秀が負けたのは無論、順慶が味方しなかったからである。
真田十勇士だの風魔小太郎だのは、伝令の妄想にすぎない。
順慶が味方した方が勝ったのだ。
歴史はそうやって、順慶に作られたのであった。
無論、諸説あります!
(何時に行かん展開につい)
いつにいかん! てんかいに、つい!
お読みくださった方、ありがとうございます。
明日は、同じ回文オチ形式のショートショート
「魔人ビキラ」を、お昼の12時前後に投稿予定です。
「続・のほほん」も投稿出来ると良いですね。
ほなまた明日、魔人ビキラ、で!