「竹ヤブの怪」の巻。ミチコ&タカシ編
夜半に、マーガリンの買い忘れを思い出し、コンビニに急ぐミチコさんとタカシくん。新婚だった。
急ぎとて、近道の竹藪の細道を抜けていた。
と、
ミチコさんが、
「あっ?!」と声を上げて立ち止まった。
「な、なになになに?! オバケ? 幽霊? ミチコさん」
すでに闇夜に酔っていた大ビビリのタカシくんが、ビビリのミチコさんに密着した。
「その言い方じゃ、わたしがオバケな幽霊みたいじゃないの」
夫に先にビビられたので、落ち着いて強気に出るミチコさん。
「ほら、キノコをみつけたのよ、タカシさん」
と、細道の両脇を懐中電灯で照らすミチコさん。
照らし出された路傍には、赤く、ひょろりとした細長い小枝のような物体が、何十本と生えていた。
「ひわあ、地縛霊の指?!」
さらにミチコさんに、くっ付くタカシくん。
「面白い連想ね。いつまでもそう言うコト言ってると、離婚されるわよタカシさん」
と、伝家の宝刀を抜く若妻ミチコさん。
「狐の松明って言うキノコよ。奇妙な形をしてるわよねえ」
赤い小枝の先には、黒っぽい泥のようなモノが付いている。
クレバと呼ばれる胞子の塊りである。
「群生してるみたい」
「だ、誰が撒いたんだろう?」
「またそう言う変なコトを言う、タカシさんは」
その時、
『それは、わたし』と言わんばかりに、雲からでた満月が竹藪の細道を照らした。
細道に沿って、赤い柄のカサのないキノコが、ずらりと並んでいるのが見えた。
「うわ。地雷原みたい。タカシさん、そーーっと歩こう、そーーっと」
と言うミチコさんの提案に何度もうなずき、忍び足で歩き始めるタカシくん。
そんな二人を月光が、笑いを堪えながら、照らしていた。
(狐の松明撒いたのね月)
きつねのたいまつ、まいたのね、つき!)
お読みくださった方、ありがとうございます。
次回「続・のほほん」は、土曜日(1月20日)の朝、7時前後に投稿予定です。
明日は、「魔人ビキラ」外伝を投稿予定です。
また毎日投稿に戻ったので、変に充実したように感違いしています。うん、感違いは大切。
ほなまた明日、「魔人ビキラ」外伝で。