「緊急集合の詰所」の巻。
詰所に緊急集合するハンダ町の夜廻り隊員たち。
「今日、集まってもらったのは、他でもない。予言婆アの新しい予言が出た」
と、隊長のイザヨイさんが言った。
「今年一杯で、この世が終わるそうだぜ」
「あの婆ア、去年も同じ事を言ったろう」少しウンザリした様子で、ミカヅキさんが言った。
「一昨年もだ。毎年言ってりゃそのうち当たるとでも思ってんじゃねえか」と、ハンゲツさん。
「それだ。今月は地震がある! と言い続けていると、そのうち当たる日本の常識」と、カゲンさん。
「貧乏横丁の予言爺イがそれ言ってた。今週こそ日本の何処かで地震が起こるって」と、ジュウゴヤさん。「しかも震度3以上だってよ」
「そんなもん、当たってもハズレと一緒だ」ミカヅキさんが忌忌しげに腕を組んだ。
彼らの頭上では、裸電球が揺れている。
「予言少女が、『幸せの雲』を見たって言ってたぜ」ジュウゴヤさんが、胸ポケットから紙を取り出して広げる。「これだよ。ほら、不思議な雲だろう?」
「馬鹿野郎。そりゃ、10年も前からSNSで出回っているチェーンメイルだ」イザヨイ隊長が言下に否定した。「ウンコみたいな幸せ、持ち出すんじゃねえ」
「じゃあ、明日の詰所はないって言う、予言年増の言葉はどうなるんだい?」と、カゲンさん。
「それこそ出鱈目だろう。ワシらがこうやって集まってるじゃないか」腕を組んだまま、ミカヅキさんが一蹴した。
「まあ、明日の事は分からんが」と、イザヨイ隊長は笑った。
彼らはまだ、頭上にソコソコな隕石が落下している事に気がついていなかった。
誰も予言していなかったからである。
(持ち寄る予知も)
めちよるよちも?!
たぶん明日も、「続・のほほん」を投稿します。
ではまた明日、5時前後に!