「ある日のお化け屋敷」の巻
本家・お化け屋敷の隅っこでの会話。
「なんだよ、ロクロ首。大人気じゃねえかよ」
のっぺら坊が、嫉妬丸出しで吐き捨てた。
「美人だからねえ」
一つ目小僧が応じた。
「ふん。あんなもん、化粧だろうが化粧!」
「のっぺら坊さんも、化粧すれば見違えるような美人になると思うけど」
「そ、そうかい? オイラでも美人になれるかい?」
人気が出るのが問題なので、性別は気にしないのっぺら坊だった。
「頼んでもいいかい? 化粧」
「もちろんですよ。のっぺら坊さん」
一つ目小僧は化粧映えのする目をぱちぱちとまばたいて言った。
「頼むよ。キミの本番の顔って、目がパッチリして、まつ毛が長くて、舌が真っ赤で、凄くキモ可愛いもんねえ」
「ありがとうございます。では、ちょっくらやりましょう」
化粧ケースを持ち出して、一つ目小僧はうなずいた。
その夜、お化け屋敷では、顔に凸凹がない美女が、遊女姿でヌウッと井戸から出て、人々を驚かせていた。
(おう。反応が違う。叫び声が違う)
のっぺら坊は、悦に入った。
全く凸凹のない美女は、とても不気味だったのだ。
「うん。やっぱりボクの目の方が美しい」
一つ目小僧も、満足気にうなずいていた。
(ケバく化け)
けばく、ばけ!!
読んでくださった方、ありがとうございます。
夕方、5時前後にまた「続・のほほん」で会いましょう?
回文妖術師と古書の物語「魔人ビキラ」も同じ回文オチ形式のショートショートです。
よかったら、読んでみて下さい。




