「強風の日」の巻
風の強い日だった。
ケンゴロウさんは不安で一杯だった。
帽子が少し大きかったからである。
「風で飛んじゃったらどうしよう?!」
しかし買い物には行かねばならぬ。
妻に今晩のおかずの具材を頼まれているからである。
「手で帽子を押さえて行くさ」
「習い覚えた体術で風を躱わすさ」
ケンゴロウさんは覚悟を決めて外出した。
外出して一分で、帽子を吹き飛ばされた。
「うひゃう。しかしコレだけは、なんとしても吹き飛ばされまいぞ!」
と、頭のカツラを押さえるケンゴロウさん。
しかしカツラも飛んだ。
「なんの。こんな事もあろうかと、二つ被って来たのだっ!」
第二のカツラを必死で押さえ、風に逆らって道を進むケンゴロウさん。
カツラは風に押され、ズレていた。
風の音が笑い声に聞こえた。
風は強く、照れている場合ではなかった。
(照れずにズレて)
てれずにずれて
お読みくださった方、ありがとうございます。
部署の課長で、ヅラな人がいた。
会社の風呂にもヅラを被って、入っていた。
社員旅行で部屋が一緒になり、見てしまったのだが、ヅラを被ったまま寝るのは良いが、時々ヅラの向きを直していた。
寝ていて無意識に直しているのか?
ともあれ頭が全体に動くのだ。
会社勤めをしていた時の、強烈な思い出である。
そして、オレは人の事は言えない禿げ頭になった。
ヅラを被るか?
しかし、課長のヅラ絡みのエピソードが思い出され、なかなか決断がつかない。
思い悩みたくはない。さらにハゲるからである。
明日も「続・のほほん」を投稿します。
たぶん、夕方の5時前後になるかと思います。