「ゴミではない!」の巻
ゴムが伸びた。
つま先に穴が空いた。
流行りが過ぎた。
カカトが擦り減った。
もう、一ヶ月履いた。
様々な理由で、日々、靴下は捨てられていた。
「毎日毎日ぼくらは軽んじられ、捨てられてイヤんなっちゃうよ!」
「あなたは新品みたいだけど、どうして捨てられたの?」
靴下捨て場で靴下たちが会話していた。
「分かった。模様がダサかったんだわ。だって、黒と黄色の縞縞模様なんて」
「違うよっ! ぼくを履いてた男に彼女が出来たんだけど、そいつが巨人ファンでさあ」
タイガースの縞縞靴下は、ため息を吐いた。
「昨日の昼までぼくに頬ずりしていたくせに、夜には捨てられたんだよっ! トラ縞なんて要らねえって言われて」
「あーー、分かるわ。ある時、突然心変わりするのよ人間て」
「ショッキングピンクの靴下さんは、どうしたんですか?」
「四月から中学生だし、もうこんな子供っぽいの要らない。って言われて捨てられた」
ピンクの靴下も、ため息を吐いた。
「昨夜の夜まで一緒にお風呂に入ってたのに」
人間の身勝手によって、ホコロビもないのに捨てられた靴下は多かった。
いや、心のホコロビが広がって捨てられたと言うべきか?
「よし! 独立するぞ! たった今から、この場所は靴下独立国『ソックスハイランド』だっ!!」
かくて靴下捨て場に立てられる、ハイソックスがクロスしたデザインの国旗。
翌日の朝、靴下と一緒に旗も回収され、焼却炉で灰になったのは書くまでもないが。
今頃、天国で靴下音も高らかに、行進しているのではあるまいか。
(何くそ国な)
なにくそ、くにな!!
お読みくださった方、ありがとうございます。
この作品? には、「およげタイヤキくん!」えっと「!」あったっけ?
と、半村良著「軍靴の響き」いや、「軍靴の音」だっけ? が、リスペクトされているようです。
気を取り直して、今日の夕方、5時前後に、
「魔人ビキラ」を投稿予定です。
ほなまた、夕方に、魔人ビキラ、で。