「アンコの気持ち」の巻
アンコのアン吉は、どうせ包まれるなら、頑固餅として有名な、ガン助爺さんに包まれたかった。
アン吉は美味しいアンコとしての自信がたっぷりとあったのだ。
今も、爺さんの試練に晒されて、美味しそうなコシアンが叫んでいる。
「ぐおおおおお!」
「ええい、もっと腰を入れんか!」
「ぐおおおおおお!」
「失格だ。次っ!」
そしてついにアン吉の番がやって来た。
アン吉は、爺さんの試練を知っていたので、昨夜は充分に練習を積んでいた。
「叫んでみい、若いの」
「ぐおお………」
なんとした事か、練習のし過ぎであろうか、声がさほど出なかった。
「なんだ、小倉あん。美味しそうな面しやがって、その程度か?!」
並んでいるウグイスアンを始め、他のアンコたちは笑った。
焦るアン吉は、もう一度叫んだ。
「ぐお!」
さらに声が出なかった。
(肝心な時になんと言うしくじりか?!)
がっくりと肩を落とすアン吉に、ガン助爺さんは言った。
「よし、合格!」
気張りすぎが良くなかったのだ。
そうしてアン吉はガン助爺さんに包まれて、美味しい大福になったのだった。
食べた僕が言うんだから、間違いないよ。
(小倉ぐお)
おぐら、ぐお!!
お読みくださった方、ありがとうございます。
今日、金曜日は、
回文妖術師と古書の物語「魔人ビキラ」の投稿日。
夕方の5時前後に投稿する予定です。
明日、土曜日もたぶん、「魔人ビキラ」を投稿して、明後日の日曜日は投稿をお休みします。と思います。
ではまた、夕方に「魔人ビキラ」で?